残業5時間以内は41位ミズノ(5.0時間)まで。100位オエノンホールディングス、リコーリースの2社でも8.6時間と、上位100社の残業時間を見ると、長時間残業とは無縁の職場のようだ。
全742社の平均値は18.9時間。1カ月に20日働くとすると、1日の残業時間は1時間未満という計算になる。しかし、業種別に見ると、残業が多い業種も存在する。
残業時間が最も長い業種は建設業
今回のランキング対象企業で10社以上存在する業種のうち、最も残業時間が多かったのが、建設業の31.9時間(44社)。続いて、情報・通信業の23.9時間(46社)、輸送用機器23.4時間(47社)などだった。
一方、低いのは、繊維製品9.1時間(18社)、医薬品9.7時間(21社)、化学13.4時間(68社)といったところ。業種によって残業が多い少ないという傾向は見て取れる。
さて、残業時間を開示することは、会社がきちんと従業員の勤務状況を把握している、という証にもなる。もっとも、休日出勤でいつ取れるかわからない代休扱いになっていたり、サービス残業などで実際はもっと働いている、というケースもあるかもしれない。
だが、そうした若干存在する問題企業も働き方改革の機運が盛り上がる現在、強く批判されるケースが増えてきた。特に大手になるほど、その傾向が強く、開示情報が実状と合っていなければ、今後、強いバッシングを受ける可能性が高い。
CSRの範囲は社会貢献だけでなく、環境やコンプライアンス(法令遵守)、ダイバーシティ(多様性)、従業員の健康など、幅広い。情報開示は「自社がこれらに対応したきちんとした会社である」ことを示すための場でもある。
東洋経済としては、会社が末永く存続し発展していくためには、「何より従業員が重要」と考え、特に雇用・人材活用の情報を、CSRデータの基盤として重視している。
今回の「残業時間」は、この雇用・人材活用の基本データのひとつと位置付け、CSR評価にも使っている。もちろん残業時間は少ない方がいいが、現状は残業が多くても、今後変わっていこうという姿勢がより重要だ。
その第一歩が状況を把握して開示すること。そのため評価の際は内容よりも情報開示にウエートを置いている。人材に関する情報を多く開示している会社は、そのレベルにかかわらず、従業員を大切にしようと考えていると判断してよい。
少なくとも情報を開示している会社は、そうでない会社よりも信頼できる。就職先を選ぶ際も、こうした情報をしっかり公表しているという開示姿勢を中心に、会社を評価するとよいだろう。手前みそながら『CSR企業総覧』で一定以上のデータを開示している会社はお勧めだ。
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