4代目プリウスは、なぜ早々に首位陥落したか ハイブリッド車の絶対王者ではなくなった
とあるトヨタ系ディーラーでプリウスの売れ行きを聞いた。
「極端に販売不振という印象はないですが、ただ30系(3代目)ほどの勢いがないのは確かです」。ベテランクラスの営業マンA氏はこう話した。4代目プリウスは正式発表時点の事前受注が6万台を突破。納車は3~4カ月待ちの状況だった。ただ、3代目プリウスの事前受注7.5万台には及んでいなかった。
気になるのは「4代目プリウスはエクステリアデザインの評判があまり芳しくない」(自動車販売業者)という評価だ。4代目プリウスのデザインはかなり先進的に見える一方、好き嫌いの好みが分かれるという見方もあった。
ハイブリッド車のニーズが分散化している
ハイブリッド車のニーズがプリウスに集中しなくなったことだ。いまや「カローラ」「シエンタ」「ノア/ヴォクシー」などなど、トヨタ車の多くがハイブリッド仕様をラインナップしている。ダウンサイジングの流れもあり、ハイブリッド専用コンパクトカーのアクアに、かつては3代目プリウスを購入していた層が一部流れているという面もある。
12月14日に国内で発売されたトヨタの新型コンパクトSUV「C-HR」もHV仕様をラインナップ。プリウスと共通の基本骨格(プラットフォーム)を採用しており、世界的なSUV人気を受けて、事前受注は2万9000台に達した。この中にもプリウスと比較検討して買っているユーザーもいるだろう。
前出のA氏に納期を聞いてみると、ニッケル水素電池を採用するS系、リチウムイオン電池を採用するEやA系どちらでも早ければ1カ月ほどで納車可能とのことなので、トヨタ車のなかでは「即納レベル」となっている。これまで納期遅延となっていたリチウムイオン電池搭載モデルのバックオーダーが解消されたことも販売台数落ち込みの要因となっているようだ。
4代目プリウスはレンタカーなどのフリートセールスも積極化しているようで、トヨタ系レンタカー会社以外のレンタカー専業店でも多く見かけるようになった。またインターネットの中古車検索サイトで見ても、未登録状態で中古車専業店へ委託販売している車両や走行距離がわずかの未使用中古車などが目立っており、前述した新車の納期が早いことからも、4代目プリウスは市場においてダブつき気味になりつつあるともいえる。
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