日本人が知らない「ネイマールが脱税」の真相 バルセロナとサントスの間でカネが消えた

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バルセロナでこの不正移籍に絡む事件に直接関与していたのは、前会長サンドロ・ロセイル氏である。

検察は、この脱税事件に関与している者に対して次のような判決を求めている。

・ネイマール 禁錮2年と罰金1000万ユーロ
・ネイマールの父親 
禁錮2年
・ネイマールの母親 
禁錮1年
・サンドロ・ロセイル(バルセロナ前会長) 
禁錮5年と罰金1000万ユーロ
・バルセロナ 
脱税などで844万ユーロ
・オディリオ・ロドリゲス(サントス前会長)
 禁錮3年
・サントス 
脱税で700万ユーロ

またDISはバルセロナのバルトメウ現会長も当時、副会長を務め、この脱税事件に関与しているとして禁錮8年を求めている。また、サンドロ・ロセイル前会長にも同様の禁錮8年を要求している。

そして、DISは損害賠償として1億5900万~1億9500万ユーロ(182億~224億円)の間での賠償金を要求している。

仮に検察が求めるとおりの判決が下されると、ネイマールは刑に服している間は欧州連合でのプレーは禁止となる。しかし、実際には、この判決が下されても、禁錮2年は執行猶予が認められ、通常の場合は保釈金を払えばプレーできるようになる。

ユーロ圏では財政支出の削減が現在も政府の主要政策になっている。その一貫として、現在、スペイン政府が力を入れているのが高額で契約しているスポーツ選手にまつわる脱税調査だ。ネイマールの今回の脱税疑惑もその一貫として摘発されたものである。

スペインリーグの「金持ちチーム」は2つだけ

今回のようなネイマールに絡む事件に関していうと、スペインリーグでメッシ、ロナウド、ネイマールといった超高額年俸の選手は一握り。スペイン1部リーグに参戦している20チームの中で超高額年俸を払えるチームはレアル・マドリードとFCバルセロナの2チームだけである。

その後に名門クラブとしてアトゥレティック・デ・マドリード、バレンシア、アトゥレティック・デ・ビルバオ、レアル・ソシエダーといったチームがそれに続いている。しかし、どのチームも巨額の負債を抱えているのも事実である。

とは言っても、不思議なことに世界の優秀な選手と契約する金額という面で見ると、スペインリーグは英国リーグに次いで契約金総額が大きいリーグとされている。スペインではサッカーは国技のようなもの。それだけにファンの層も分厚い。またそれがメディアなども巻き込んだ巨大なビジネスとなり、大金が動くということを、あらためて実感させられた今回の騒動である。

白石 和幸 貿易コンサルタント

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しらいし かずゆき / Kazuyuki Shiraishi

1951年生まれ、広島市出身。スペイン・バレンシア在住40年。商社設立を経て貿易コンサルタントに転身。国際政治外交研究も手掛ける。著書に『1万km離れて観た日本』(文芸社)。

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