日本人が知らない「ネイマールが脱税」の真相

バルセロナとサントスの間でカネが消えた

スペインの主要メディアが一斉に報じたところによると、事の発端はブラジルでネイマールが所属していたチーム、サントスFCからバルセロナに移籍する際に、その移籍金が実際よりも過少に申告されていたことだという。

バルセロナが移籍金として支払った金額は、公式な発表では5710万ユーロ(65億7000万円)ということだった。その内訳はネイマールの家族に4000万ユーロ(46億円)、そしてサントスに1710万ユーロ(19億7000万円)。しかし、検察は実際に支払われた金額はおよそ8300万ユーロ(95億5000万円)だと見ているのだ。すなわち、その差額2590万ユーロ(29億8000万円)が申告されていないことになる。

この差額について、バルセロナはサントスの協力を得て、4つに契約を分割して支払ったと検察は見ているという。そのひとつは正式契約で、残りの3つは融資金の提供といった形で偽った契約になっているというのだ。

投資ファンドがからくりを告発した

このからくりを告発したのはDISというブラジルの投資ファンドである。DISは2009年、当時ネイマールがまだ17歳のときに、彼のプレーを見ていて将来性の豊かな選手と判断した。そして彼と彼の家族に経済的援助をする代わりに、将来、プロ選手として契約した場合に、その契約金の40%を報酬としてもらうという契約を交した。

そして、今回のサントスからバルセロナに移籍したときに、サントスに支払われた移籍金1710万ユーロの40%、680万ユーロ(7800万円)をDISが受けとった。しかし、この契約についてDISは当初から不審に感じていたという。契約金が低すぎるのである。通常は契約交渉にDISも参加することになっている。しかし、今回の契約では交渉への参加の呼びかけもなかったという。

DISはその後も、この契約について追跡調査をした。それを当局に提出。検察は脱税の疑いがあると判断。そこで、DISは今回の移籍金が実際よりも少額で申告されているため、移籍に伴って受け取った報酬が本来の額より少なくなったとして告訴したのである。

検察はつかんでいる証拠書類から、サントスが実際に受け取った額は1710万ユーロではなく、2510万ユーロ(28億9000万円)と見ている。よって、検察はDISが報酬として本来受け取るべき金額は680万ユーロではなく、1000万ユーロ(11億1500万円)だとした。

また、バルセロナはネイマールがほかのチームからの誘いに乗らないように2011年に移籍金4000万ユーロ(46億円)のうちの1000万ユーロ(11億5000万円)を前金として支払っている。それはレアル・マドリードがネイマールと契約を結ぶことに関心を示しているという情報を、バルセロナは事前につかんでいたからである。実際に、レアル・マドリードは2013年に移籍金としてまず3600万ユーロ(41億4000万ユーロ)を提供したいと打診したという。

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