「高速バス流」の経営は3セク鉄道を変えたか

スタートから1年半、京都丹後鉄道の今

今年10月11日に稼動した「運行状況共有システム」の表示例。列車番号が記されているところに列車が在線している

これらの予約システムに加え、今年の10月11日からは利用者満足度の向上策として「運行状況共有システム」が稼動し始めた。鉄道は「閉塞」と呼ばれる一定の範囲に一列車だけが走ることができるシステムで安全を確保しているが、その閉塞の信号を拾い出し、列車がどの位置にいるのかを有人駅の全てでわかるようにしたシステムだ。

従来は、CTC(列車集中制御装置)の設備のある宮津駅だけでしかわからず、KTR時代にはダイヤが乱れた際の案内対処に苦慮していた。だが、丹鉄となってから同社のIT部門に打診したところ、比較的早く対応できることがわかったという。プログラムの開発よりも、予算獲得の方に時間がかかったと寒竹常務は苦笑いしていた。

このシステムはLAN回線でデータを送っており、今後はさらに改良を加え、社内の端末であればどこからでもアクセスできるようになるという。

システムの発想の元になったのは、ウィラー・グループで使用しているバス用のシステムだ。バスはいったん走りはじめるとどこを走っているのか確認が容易でないため、同社ではGPSによる位置情報を使ったシステムを構築しているが、鉄道の場合は閉塞回路の信号を活用することでGPSを設置することなく実用化している。バスで培ったノウハウやシステムを応用したわけだ。

「バス会社が鉄道?」の懸念覆す運営

寒竹常務によると、丹鉄の運営が決まった当初、バス会社が鉄道事業に参入して安全は大丈夫なのかとの声があったという。しかし、ここまで見てきたとおり、JRのOBを雇用し続けることで安全確保を維持しつつ、新規採用によりそのノウハウの社内蓄積を目指している。

これらの取り組みからうかがえる通り、丹鉄は従来の上下分離による鉄道会社とは一線を画す存在であり、地域に根ざしつつもウィラー・グループとして各種の交通機関と連携を図っていくという、広い視野を持った企業の一部であることが感じられる。閉塞感が否めない日本の地方私鉄に、丹鉄は新たな道筋をつける存在になることであろう。今後も目が離せない企業である。

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