「高速バス流」の経営は3セク鉄道を変えたか スタートから1年半、京都丹後鉄道の今
沿線の観光地として一番人気なのは天橋立で、訪れる観光客は年間200万人。城崎温泉ですら年間30~40万人というから、いかに人気が高いかがわかる。観光面では今後、このキラーコンテンツを武器としつつ、人気の伊根・舞鶴、それに認知度は高くないものの満足度が高く再来訪意向度・推奨意向度ともに天橋立と人気を二分する夕日ヶ浦への集客を強化していくことが、当面の課題という。
「海の京都」と称される沿線は、日本文化の原点を感じられる地域だ。古来からの伝説があり、海の幸や地酒がおいしく、丹後ちりめんという名産品もある。しかし、いまのところ来訪者は夏場が圧倒的で、それ以外の時期との差が激しくなっている。
その対応策として、12月1日からリニューアルした「丹後あかまつ号」を、人気観光地であり風光明媚な区間でもある西舞鶴-天橋立間で一日2往復運行することにした。また、登場から20年が経つJR乗入れの特急用車「タンゴディスカバリー」を、順次「丹後の海」にリニューアルし、12月19日から毎日運転とする。さらに、好調なインバウンドに対しても、京都から丹後地方へ足を伸ばすよう売り込みをかけていくという。
バスで培ったITを活用
ウィラーといえば、ネットによる高速バス予約を推進した企業として知られている。実際、予約は98%がインターネットからで、利用者の67%が20代以下の若者という。これほどネットを活用できているのは、専門のIT部門を社内に有しているためだ。丹鉄も、もちろんこの部門を活用している。
丹鉄は発足時から自社サイトに予約画面を用意した。一つは「丹後くろまつ号」「丹後あかまつ号」の予約画面で、もう一つは企画乗車券の予約画面だ。前者は丹鉄独自のマイKTRアカウントを使うのに対し、後者は高速バス用のWILLER会員アカウントを使用する。WILLER会員で企画乗車券を予約すると、同会員マイページで予約状況を確認できるほか、ポイントが貯まる点も高速バス利用者の誘客に効果がありそうだ。
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