20代女性を虜にするアパレルブランドの正体 マッシュホールディングスは何がスゴいのか
中国では、どんなに日本で成功していても、誰もが無名からスタートする。そんな中でなぜマッシュだけが圧倒的に勝っているのかと言えば、それはスタート時の心構えが違ったからなのだと思う。通常、アパレルが中国に進出する際は、中国市場を熟知したコンサルタントや経験者を招き入れるか、現地企業と組むことを選ぶのが普通である。しかし、アパレルに進出した時と同じように、ここでも同社は自らの手で事業を開拓する道を選んだ。
「中国市場は完全にアウェーの戦です。だからこそ、人に教わった施策でうまくいかなかったらあきらめてしまうと思ったし、日本以上の店舗とサービスを提供しなければ、絶対に勝てないと思った。それで、自分たちでこれだと思った商業施設と直接交渉して出店し、その施設内で1番になることを目指すことにしました。それができれば、2店舗目以降の交渉を優位に進めることができると思ったのです」
アパレルからフード、化粧品へ
そのシンプルで潔い作戦は成功した。最初の店舗で成功を収めた後は、店舗数は瞬く間に拡大。スナイデルの前期の海外売上高は約70億円(前々期比9.2%増)と、国内売上高に迫る勢いで、2年以内に国内を超える見込みだ。現時点でも新たに50店舗の出店が決まっており、そのうちの9割はフランチャイズによる運営である。近藤社長は「言語の通用しない地域の売り上げが日本を追い抜いて、初めてブランドビジネスと胸を張って言えると思っているので、早く達成したい」と力を込める。
今やマッシュの2大ブランドであるスナイデルとジェラートピケの2016年8月期の国内売上高は、それぞれ90億円(前年比21%増)と114億円(同16%増)で、順調に伸び続けており、ブランドとしての地位も盤石と言える。しかし、その立場に満足するような会社ではない。近藤社長が見据えるのは「その先」だ。
すでに、マッシュホールディングスは、アパレル以外にも事業領域を着々と広げつつある。子会社のマッシュフーズが展開するフード事業は、「ジェラート ピケ カフェ」(3業態で計11店舗)や「コスメキッチン・カフェ」(1店舗)、パリのショコラティエ「ユーゴ・アンド・ヴィクトール」(3店舗)などを展開し、順調に業態を拡大している。
今期は、スキンケアやメイクアップのジャンルに力を入れる方針で、11月には高級スキンケアのオリジナルブランド「セルヴォーク(Celvoke)」(細胞の声という意味)をスタートし、来年の春にはメイクアップのオリジナルブランドも立ち上げる予定だ。
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