三菱自、株主317人が見届けた「再出発」の日 ついに日産体制始動、三菱自は再建できるか

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日産から役員を受け入れ、報酬を大幅に増額する議案を提示した臨時株主総会。参加者は少なく、会場は閑散としていた(記者撮影)

「私には拡大したアライアンス(連合)を成功に導く自信があります。今日は三菱自動車の再生に向けた新たな幕開けです」――

12月14日に開かれた三菱自動車の臨時株主総会。新たに会長に就任する日産自動車のカルロス・ゴーン社長は3分ほどのスピーチを全て日本語で通し、力強い決意を語った。

しかし、新生三菱自動車の船出の場としてはあまりにも寂しいものだった。臨時株主総会に出席した株主はわずか317人と今年6月の定時株主総会の出席者数を4割も下回った。

日産傘下で再出発を図る

3000人の会場に出席者はわずか300人強だった(記者撮影)

「株主の関心の高さに応える」(広報)として3000人収容可能な「幕張メッセ」(千葉市美浜区)のホールを会場に用意したが、ガラガラの会場を見てゴーン新会長は何を思ったことだろう。

燃費不正問題を契機に日産から34%の出資を受け入れ、日産の傘下となった三菱自。益子修社長兼CEOは「日産からスキルや人材などの支援を受けながら、自らの手で信頼と業績の回復を進める」と話した。

三菱自は新経営体制への移行に伴う組織改正についても発表。2017年1月に、部門制度を廃止し、機能軸で組織再編を行う。組織のフラット化と階層の簡素化で意志決定を早め、コミュニケーションの円滑化を図るのが目的だ。

益子社長は役職ではなく、「さんづけ」で呼び合う活動を展開していることも明らかにした。「従来は問題が起きても解決策がないと相談できない雰囲気だったが、問題が起きた時にすぐに相談できる関係を目指す」のが狙いだ。

臨時株主総会では8人の株主が質問に立ったが、その大半は厳しいものだった。特に注目を集めたのが、役員報酬に業績連動分を加えることで、その上限を現在の9億6000万円から20億円に引き上げ、株価に連動する報酬を上限10億円(社内取締役のみ)で支給するという議案だ。

報酬限度額は合計で30億円となり、2015年度に社外取締役を含めて14人の取締役に支払った総額4億7000万円の6倍を超える水準だ。

株主の質問も「今期が2400億円もの最終赤字に転落する見込みの中で時期尚早だ」「不祥事を起こしたことに対して反省していないことが疑われる」など、この点に集中。増額の幅そのものよりも、増額をしようとしていることが批判された形だ。

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