「イケイケ相場」は何をきっかけに崩れるのか 「2017年の日経平均2万円超」には異存なし

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しかし、日本と米国は違う国だ。日本では景気回復力がまだ弱く、融資量の増加ははかばかしくない。短期金利はマイナスで、10年国債利回りも日銀がゼロ近辺に固定しているため、貸出金利も抑制されている。百歩譲って、メガバンクが海外収益を拡大させるという期待は持てたとしても、地銀についてはそうしたシナリオは疑問符が付く(地銀が海外での融資を行なっていないわけではないが)。

ましてや、本来であれば地銀の再編が進むべきところ、ふくおかFGと十八銀行の経営統合を、単に長崎県内の融資シェアを問題として公正取引委員会がブレーキをかけるような状況では、地銀全体の採算改善は期待しづらい。

行き過ぎに拍車をかけた「トランプ・孫会談」

そうした行き過ぎの事態が、足元さらに行き過ぎになったのは、「トランプから孫へ」と、心理的な材料がつながったことが大きい。大統領選挙直後からのトランプ期待は、さすがに日米の株価でみて疲弊感がじわりと表れ始めていた。だが、そこへ12月6日(火)(現地時間)の「トランプ・孫会談」(ソフトバンクグループの孫正義社長)の報道が飛び込んできた。

経営者として、機を見るに敏なりという点は感嘆するが、これを受けて国内では、7日(水)からソフトバンクグループの株価が大きく上昇した。同社株は日経平均株価におけるウエイトが高いため、同社株のみならず、日経平均についても、「イケイケ感」が強まったと言える。

また会談翌日の米国市場においても、携帯大手のスプリント社の株価が前日比で約9%も上昇し、これが通信サービス株全般を押し上げて、ニューヨークダウ工業株指数も心理的な押し上げ効果から、前日から300ドル幅弱の大きな上昇となった。

このように、日米の株を買い上げる「口実」がうまくバトンタッチされたことが、株価上昇を持続させることに貢献した形だ。ということは、口実が切れると、この上昇相場は意外と脆い可能性もある。

上昇相場が反転するきっかけとなるイベントとしては、12月13日(火)~14(水)のFOMC(連邦公開市場委員会)も、あくまでも一つの可能性だが、想定される。おそらく0.25%の利上げが行なわれようが、そのこと自体はほぼ100%市場に織り込まれており、また0.25%利上げしたところで、米国経済や世界の金融市場に深刻な影響があるかと言えば、ほとんどないだろう。

しかし、足元の株価上昇で大いに儲けた投機筋が、FOMCというイベントを通過したことを反対売買の単なる「口実」として利食い売りを行ない、それが相場反転を引き起こす、という展開は否定できない。

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