韓国ポスト朴政権で「反日」はさらに加速する 日韓関係が悪化してもトランプは気にせず?

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こうした日韓の動きは、外交の視点でみたとき、ある意味で“大人の対応”をしたということになる。しかしここ数年、日韓それぞれの政治環境は、外に対して妥協的な態度を示せるような状況にはなかった。それは韓国による慰安婦像の設置、それに対する日本国内の強烈な反発を思い出しても、理解できる。

韓国の排外主義は間違いなく「反日」へ向かう

であればなおさら、米国という巨大な“重石”が機能しなかったときの日韓が、どのようになっていたのかについて、日本は考えないわけにはいかない。それはとりもなおさず、トランプ大統領誕生後の米国外交の変化と、その影響を受けたアジアの変数について考えることにもなるからだ。

『トランプVS習近平 そして激変を勝ち抜く日本』(KADOKAWA)。「トランプの米国」は膨張する中国にどう対峙する?そこで日米同盟は機能する?「戦後体制」が真に終わるいま、日本の国益とは何なのか。トランプ勝利後、稀代の中国ウォッチャーが書き下ろした渾身の一作。 画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

前回の記事でも書いたように、トランプ大統領の誕生という変数は、米中間の構造的な対立と協調の関係に、ただちに影響を及ぼすものではないかもしれない。

しかしトランプ大統領誕生とトランプ外交の方向が固まるまでに、アジアの“重石”としての米国の力が弱まることは、十分予測される。

それとタイミングを合わせるようにして、韓国で朴政権が完全な機能不全に陥ることを、日本は最も警戒しなければならない。

韓国で「朴後」の主導権争いが熾烈になればなるほど、人気取りのために行きすぎたポピュリズムと排外主義が台頭し、そのエネルギーが最も親和性のある「反日」へと向かうことは十分にありうる。あるいは朴時代の選択を否定するようにして、GSOMIA批判に向かうことが予想されるのだ。

しかも残念なことに、この懸念は実は、一過性では終わらない可能性がある。米国の世界戦略という視点からみれば、日本と韓国がその戦略に貢献するための役割と、それによって日韓という国家同士の関係が安定するかどうか、ということは、別次元の問題であるからだ。

はたしてビジネスマンで政治経験のないトランプが、この二つをどのように捉えるのか。ただでさえトランプの関心が薄いといわれるアジアで、さらに日韓関係にまで彼が関心をもつのかどうかは、完全に未知数である。

富坂 聰 ジャーナリスト・拓殖大学教授

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とみさか・さとし / Satoshi Tomisaka

中国ウォッチャーとしては現代屈指の一人。1964年愛知県生まれ。北京大学中文科中退。週刊ポスト、週刊文春などで名を馳せたのち、独立。中国の内側に深く食い込んだジャーナリストとして数々のスクープを報道。2014年より、拓殖大学教授。

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