ANA、訪日客の次は「乗り継ぎ外国人」で稼ぐ インバウンドより勢いづく「三国間流動」とは
成田と羽田からの就航都市数を見ると、アジアが27都市、米国が8都市だ。一方、日本航空(JAL)はアジアが17都市、米国が7都市であり、大きな差がついている。JALは同社の植木義晴社長が経営破綻の反省から「むやみに規模の拡大はしない」という方針を掲げていることもある。
コードシェアを実施する提携航空会社の数でも、特に東南アジアで差が顕著だ。ANAが先述のベトナム航空、タイ国際航空、シンガポール航空、フィリピン航空、ガルーダインドネシア航空という5社と組む一方、JALはマレーシア航空のみ。自社運航便とコードシェア便を組み合わせれば、乗り継ぎの選択肢は大きく広がる。
乗り継ぎは「ダイヤ」が命
同様に重要なのが、ダイヤだ。発着便数が多くても、空港で何時間も待たされるのであれば便利とはいえない。ANAの場合、たとえば成田では15時頃にアジアからの便が到着し、17時~18時頃に出発する米国行きの便に乗り継げる。逆もしかりで、15時~16時過ぎに米国からの便が到着し、17時~18時頃に出発するアジア行きの便に接続できる。
一方、羽田では朝6時~7時にバンコク、シンガポール、ジャカルタから到着する便から、10時台に出発するニューヨークやシカゴ行きの便に乗り継げる。また、多くの国内線からの乗り継ぎもある。深夜帯には米国発の便からアジアに出発する便につながる。
このように乗り継ぎしやすいように路線をまとめた時間帯のことを「バンク」と呼んでおり、成田と羽田で計3バンクを設けている。前出の新堀氏は、それぞれ発着枠が限られているため「両空港を1つの空港のように運営するのが狙い」だと話す。
戦略の参考にするのが、乗り継ぎ需要で爆発的に成長した中東の航空会社だ。特にエミレーツ航空は、拠点空港であるドバイに世界から人を集めて乗り継ぎをさせた。1時間に30便弱を発着させ、大きなバンクを作ったのだ。500人以上が乗れるエアバスの超大型機「A380」で大量輸送することで、運賃を低く抑えて人気を得た。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら