「上島珈琲店」は普通のカフェと何が違うのか コーヒーブームの中で狙う独自の価値とは?

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「上島珈琲店は、個人経営の喫茶店が衰退する中、"古きよき喫茶店文化を継承しつつ、新しい価値をつくる"というコンセプトのもと、2003年にスタートしました」(UCCフードサービスシステムズ上島珈琲店営業部の橋本吉紀次長)

同店の特徴は、ネルドリップによる抽出。特許取得した独自のネルドリップマシンは、街の喫茶店のマスターが1杯ずつ丁寧に入れるコーヒーの味わいを目指したものだ。

ブランドとしてのターゲットは「こだわりのあるアクティブシニア男性」。日本の喫茶文化を踏襲した和風モダンのインテリアを採用し、静かにジャズが流れる落ち着きのある空間を形成している。カップや椅子などには柳宗理氏のデザインが用いられている。

ただ、実際に利用しているのは30~40代の女性が多いそうだ。これは、商業施設50%、オフィス街30%、住宅・ターミナル20%という出店傾向にも関係がある。

品ぞろえは他チェーンに比べれば少ないものの、季節限定のスイーツやドリンクなどにも力を入れている。そして、その注力度合いには並々ならぬものがある。筆頭が、数量限定の「日本蜜蜂のはちみつミルク珈琲」(Mサイズ700円)だ。定番商品のミルク珈琲は、ダブルネルドリップで淹れたクリアで濃厚な味のコーヒーに、ミルクを加えたもの。これに季節の素材を添えた商品が季節商品の柱となっている。

「日本蜜蜂のはちみつミルク珈琲」は毎年、秋から冬にかけて発売され、今年で7年目になる人気の商品だ。紀州和歌山で養蜂される日本蜜蜂のはちみつは、年に1度しか取れないうえ、量も少ないため非常に稀少。流通しているはちみつの1%程度で、ほとんど一般に出回らないそのはちみつを、養蜂農家と直接契約して買い上げ、季節限定商品に投入しているのだという。

「“百花蜜”と言って、さまざまな花から取れる蜜です。さらに、量が少ないので複数の養蜂家の蜜をブレンドします。そのブレンド具合も、コーヒーの味を引き立てる香りや味わいになるよう、当社の注文に合わせてもらっています」(商品企画部 丸田文氏)

稀少で高級な素材を用いるため、原価が高い

「鹿の子バタどら」(280円)

「鹿の子バタどら」(280円)は、国産小麦を原料とした生地に、十勝産小豆の粒あん、鹿の子豆を挟んだもの。バターを加え洋風の香りを添えている点が上島珈琲ならではの工夫だ。なお、このバターも国産と、素材にこだわっている。

このように稀少で高級な素材を用いるため、原価がかなり高くつき、季節商品については「一般的な原価より10%ぐらい高いものもある」(橋本次長)という。

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