都心3区のマンションだけが「圧勝」する理由 「トランプ大統領」誕生も追い風になるか

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

 2012年の政権交代以降、都心3区の中古マンション価格は150%近く上げたが、東京全体で見ると130%程度、神奈川・埼玉・千葉に至っては110~120%程度にすぎない。さらにいえば、こうした上昇はマンション市場だけのものである。

また、住宅地(戸建て用地)や戸建住宅はなだらかに下落基調にある。上昇を続けたマンション市場に比して割安感があること、今年2月のマイナス金利導入による一段の住宅ローン金利低下などから、ここ数カ月はやや上昇基調ではあるものの、その上昇余地は限定的だ。

勝ち組、負け組が明確になってくる

その理由は簡単で、大きく2つある。ひとつは「マネーの一極集中」。都心や都市部の超一等地はオフィスが林立し、REIT(不動産投資信託)やファンドマネーが流入する。日銀は年間900億円のペースで定期的にREITを買い上げてもいる。2015年には、相続増税がスタートし、取引価格に比して相続税評価額の低いタワーマンションを目指してマネーが流入したことは記憶に新しい。国税庁は行き過ぎたタワマン節税に監視の目を強めるほか、政府・与党はこうした税制の歪みを一定程度是正する方針だが、それでもタワマン節税の相対的な優位性は大きく変わらないだろう。為替が円安に振れることは、海外マネーを都心に招来することになるのだ。

一方で日本はこれから本格的な人口減少、少子化・高齢化に見舞われる。こうなると相対的に弱いところからドンドン人がいなくなり、空き家大量増加で町は荒廃し、上下水道やゴミ収集などの行政サービスもままならず、最終的には無人となるところも出てくるだろう。

以上のことから、筆者は、これから日本の不動産市場は大きく3極化すると考える。「価値を維持するないしは上げるもの」「なだらかに下落し続けるもの」「限りなく無価値ないしはマイナス資産となるもの」といった具合だ。それではこのような状況の中で、私たちは不動産とどのように付き合っていけばいいだろうか。本連載ではあなたと不動産とのより幸せな関係を見いだしていただくべく、そのヒントをご提供したい。

長嶋 修 不動産コンサルタント(さくら事務所 会長)

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ながしま おさむ / Osamu Nagashima

1999年、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社『株式会社さくら事務所』を設立、現会長。以降、さまざまな活動を通して“第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント”第一人者としての地位を築いた。国土交通省・経済産業省などの委員も歴任している。主な著書に、『マイホームはこうして選びなさい』(ダイヤモンド社)、『「マイホームの常識」にだまされるな!知らないと損する新常識80』(朝日新聞出版)、『これから3年不動産とどう付き合うか』(日本経済新聞出版社)、『「空き家」が蝕む日本』(ポプラ社)など。さくら事務所公式HPはこちら
 

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事