5年後廃止?大学センター試験見直しの裏側 止まらない、高校生の学力低下

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選抜方法も大きく変わった。特に私大の場合、入学者の40.3%を推薦入試、10.2%をAO(アドミッション・オフィス)入試が占めており、何と半分超が学力テストを受けていない。センター試験の是非を問う以前に、そもそも学力不問で入る生徒が半分を超えているのだ。

「かつての上位大学から推薦の枠がどんどん増えている」。ある私大附属高校の校長はそう漏らす。私大だけではない。東京大学は16年度から後期日程で推薦入試を導入。九州大学も法学部で15年度からAO入試を復活させる。もはや大学にとって、進学志望の高校生は“お客様”なのである。ただ入学後、一般入試組に比べ、AO組が学力面で付いていけず、中退する事例が相次ぐなど、その弊害も指摘されている。

将来は飛び級や高校の早期卒業も

従って、到達度テストは、平均60%が獲れる前提で作成されたセンター試験のような足切りというよりも、中程度レベルの生徒の学力を全体的に底上げするという目的の方が大きそうだ。逆に言えば「成績上位の生徒は1回受ければよく、学校に来る必要がなくなるかもしれない」(ある私立高校校長)。場合によっては、飛び級や高校の早期卒業なども、将来は想定されよう。

混迷する大学入試。センター試験見直しの背景には、若者の学力低下という根深いテーマが横たわっており、短期間で解決する問題ではない。文科省、学校、生徒、親を含め、関係者間の模索は続く。

詳しくは『週刊東洋経済』7月6日号の「エリート教育とお金」をぜひ御覧下さい。

大野 和幸 東洋経済 記者

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おおの かずゆき / Kazuyuki Ohno

ITや金融、自動車、エネルギーなどの業界を担当し、関連記事を執筆。相続や年金、介護など高齢化社会に関するテーマでも、広く編集を手掛ける。

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