5年後廃止?大学センター試験見直しの裏側 止まらない、高校生の学力低下

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勉強しない日本の学生は、世界でもランクが急降下

だが実のところ、到達度テスト導入の目的は、入試改革もさることながら、“高校教育の質保証”という側面もある。受験テクニックの要領にたけた生徒が増えた反面、「基礎的・基本的な知識・技能や、課題解決に必要な思考力・判断力・表現力が劣ってきた」(文部省幹部)からだ。

それだけ生徒の学力低下は深刻だ。まず絶対的な勉強時間が減っている。ベネッセ教育開発センターの調査によれば、高校生の学校外における平日の学習時間はここ数年、大きく減少。特に偏差値50~55の中間層=ボリュームゾーンが、90年の112.1分から、06年には60.3分へと、半分近くに落ちてしまった。

 また国際的にも有名な、OECD(経済協力開発機構)のPISA(学習調達度調査=15歳児対象)によると、「数学的リテラシー」における世界の中の日本の順位は、00年1位→03年6位→06年10位→09年9位、と下降気味だ。これはシンガポール、香港、韓国、台湾より下の位置。03年に日本がトップを陥落した時は大きく騒がれたが、その時から比べても、順位を落としている。さらに、「科学的リテラシー」や「読解力」などでも、同様に低下が目立っている。

大学「全入」時代到来、推薦・AO入試の弊害も

しかし、そうした「勉強しない」日本の高校生でも、数年前より、大学には難なく入ることができる。少子化の一方、大学の数が増え、入試が“広き門”となっているからだ。

18歳人口は12年で119万人。直近のピークである92年の205万人から比べ、半分近くに減った。一方で大学の数は、12年度で783校(国公私立全て含む)。00年度の650校から、100校以上も増えている。私大の45.8%は定員割れなのが実態だ。大学の収容力(入学者数/志願者数)は、今や92.4%に達し、希望者10人のうち9人が大学に入れる構造になっている。

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