シダックス、高級フィットネス参入の真意 志太勤一社長「ホンダF1に学んだ“究極"戦略」
ホンダ「F1」戦略に多くを学んだ
会社の機構として「シダックス総合研究所」があり、そこでは食事指導や、体を動かすことと食事との関係などを研究してきた。そのひとつの成果が、昨年のロンドン五輪で、独立行政法人日本スポーツ振興センターが日本選手団を支援するため現地に設置した「マルチサポートハウス」において、トップアスリートの方々の食事を提供したことだ。
私たちは自動車のホンダにたくさんを学んでいる。ホンダはF1競技に参加することで、最新の最先端技術を磨き上げていく。それを一般車にどうやって導入していくかということが、ホンダの技術革新につながってきた。
トップアスリート向けの食事こそ、まさに「究極の食事」だ。そうした食事は一生に1回だけというわけにはいかない。滋養期、試合直前期、試合時、試合が終わった後と、ずっと継続的にケアしていかなければならない。長い目で見たとき、スポーツ選手の食事はどうあるべきか。「おいしい食事」ということだけでなく、目的に合わせた食事の食べ方やその中身などについて研究を続けてきた。そこに運動・栄養・休息・心という目的が見え、おのずとスポーツ、フィットネスに展開することになった。
月額10万円超のプレミアムVIP会員、想定顧客は
――今回、オープンしたフィットネスクラブは、月払いで個人のフリー会員が1万4700円、プレミアムVIP会員では10万5000円とけっこう値が張る。月額でせいぜい1万円前後の普通のフィットネスに比べれば、“高級”フィットネスだ。この価格差をどう考えればよいか。
フィットネスを行う方々の中でも、特別の意識を持った方々に来ていただきたいという思いがある。たとえば会員だと無料で使える個人用ロッカーを備えたり、食事指導がセットされていたり、パーソナル・トレーニングがついていたりする。そうしたオプションを全部入れると、決して高い料金ではないと考えている。
――プレミアムVIP会員としては、たとえばプロ野球の選手や、五輪クラスの選手などを想定しているのか。
すでに実績のある選手の方々にも来ていただきたいが、これから各競技でトップ選手になっていこうと考えている方々にも来ていただきたい。(五輪選手などトップアスリートが対象の)ナショナルトレーニングセンターは、本当に選ばれた方々しかトレーニングを受けることができないので、トップアスリートの一歩手前の方々に対し、“民間のナショナルトレーニングセンター”といった考え方で提供していくことを考えている。
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