元商社マンが挑む「湘南モノレール」活性化

社長募集に応募し転職、乗客増に手応え

さらに、尾渡氏はフェイスブック(FB)を通して沿線の魅力を発信し、観光利用を掘り起こそうと試みた。今年7月に開始した「湘南の夏フォトコンテスト」では、同社の公式FBにこの夏の「湘南の思い出写真」を投稿すると、毎日先着50組100人に「1日フリー切符」を無料進呈するキャンペーンを行った。

「アンバサダー」を務めた荻原豪さんと佐藤遥さん(筆者撮影)

加えて、沿線の魅力をPRする実働部隊として、同社社員とつながりがある広告代理店より紹介を受けたデジタルサイネージ会社「インセクト・マイクロエージェンシー」(以下、インセクト社)でインターンをしている大学生2人の派遣を受け、今年7月から9月までの期間「湘南モノレール地域アンバサダー」に任命した。

アンバサダーとなった文教大学情報学部3年の佐藤遥さんと荻原豪さんはともに、酒井信准教授のゼミに在籍するクラスメート同士。息の合った連携により湘南モノレール沿線の魅力を発信した。

佐藤さんは「湘南モノレールから依頼された主な仕事は、沿線の魅力を紹介する写真と文章を公式FBに投稿することだった」といい、「広告代理店やインセクト社と相談し、エリアや対象を絞りながら取材活動を行ったほか、独自の活動としてインスタグラムにも投稿した」と説明する。荻原さんは「活動を通して、多くの人が湘南モノレールに興味をもつきっかけを作るお手伝いができたと思う」と活動の成果を強調する。2人の任期が終了したあとは、湘南モノレール社員がFBへの投稿を引き継いでいる。

さらに魅力をアップするためには?

さて、ここまで同社が進めてきた乗客獲得のための施策を見てきたが、観光客獲得のために同社が取り組むべきことは他にないだろうか。

手掛かりを得るために、”SWOT分析”を使って考えてみたい。SWOT分析とは、自社がコントロールできる自社固有の要素である「強み」と「弱み」、自社がコントロールできない外部環境の要素である「機会」と「脅威」を明確にする経営ツールである。「強み」をさらに伸ばしつつ「弱み」を改善するとともに、「機会」を上手に活用する作戦を考えて「脅威」を回避することで利益を増やすことが可能となる。

同社の「強み」は、「定時運行」と「数少ない懸垂式モノレールであること」である。「弱み」としては「江ノ電江ノ島駅・小田急江ノ島線片瀬江ノ島駅・路線バス等と比べるとバリアがある」「知名度が低い」「ICカードが使えない」「1日フリー切符の価格が安くない」といった点を挙げることができる。また「機会」は「湘南深沢駅周辺のJR工場跡地・鎌倉市有地の再開発」「外国人観光客増加」があり、「脅威」としては「並行路線バスの存在」「少子高齢化による乗車人員減少の可能性」を列挙することができるだろう。

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