東芝の株主総会、新経営体制が始動 再生エネ強化も、原発ビジネスは外せず
――社長交代に関する一連の報道について(ネガティブなトーンが目立ったことに)、株主として失望している。
社長交代に憶測含めさまざまな報道がなされた結果、ご心配をおかけしたことについては、誠に申し訳ございません。しかし、当社の社長の任期についてはおおむね4年程度で、これに倣って現社長は退任することを指名委員会で表明し、後継候補者を提案した上で指名委員会が議論を行い、ルールに従って通常通り決定されたものです。
原子力や再生可能エネルギーに関する質問相次ぐ
来場株主から寄せられた質問については、原子力発電事業に関する内容が相次いだ。
――原子力発電から撤退し、再生可能エネルギーメーカーとして再出発すべきだ。
再生可能エネルギーは資源枯渇がなく、二酸化炭素を排出しない電源と認識しています。水力、地熱、太陽光、風力の取り組みを強化していますが、電力の安定供給確保のため、基幹電源である高効率火力・原子力についても取り組み、バランスの良い電力供給を目指します。
(使用済み核燃料の問題について)原子力で語られるのは廃棄物と安全性。廃棄物は再処理して高レベル廃棄物をそのまま保管すると何百年、下手すると何万年もかかる。フィンランドは岩盤のしっかりしたところで永久保管するが、日本は岩盤のしっかりした場所や地元との協調が難しい。
――原子力に関してトップセールスが足りないのではないか。原子炉販売の見通しはあるか。
原子力発電所は米国で4基、中国で4基が建設中。トップセールスという意味では、イギリスは取り逃したがキャメロン首相とはダイレクトに話していますし、今売り込んでいるフィンランドの案件に関してはカタイネン首相と話をしている。今後、原子力の輸出先で有望になるのは産油国です。
高速中性子を核分裂することで短縮できる処理もあり、研究しながら高レベル廃棄物そのものを研究で追いかけていきたい。いちばん問題なのは、世界中でCO2を319億トンも排出していること。CO2は管理も保管もされておらず、この状態を助長していいのか。世界の電源のベストミックスは技術開発で変わってきます。原子力発電はオプションとして外すことはできません。安全な原子炉と廃棄物処理の確実な管理で、CO2のこれ以上の増加を防ぐことに努力していきたい。
――(閉鎖した北九州工場に勤めていたという株主から)一緒に北九州に勤めていた息子は姫路工場に転勤になったが姫路も怪しいとのうわさを聞く。半導体は儲からないからマイナスだと小林清志専務(セミコンダクター&ストレージ社社長)からメールが来ているというが、工場は潰れないよう改善して頑張っている。
事業には賞味期限があり、畳まなければならない場合も出てきます。株主様にご迷惑をかけることもありますので、断腸の思いで判断しています。ただし人員の再配置は確実に行い、ビジネスと雇用の継続性を確保したいと考えています。