デイリー・メールのウェブサイトは、9日午前時点でトランプ氏が勝利演説をする写真をトップにし、「トランプランドへようこそ」と大きな見出しを付けた。下方には「嘆かわしい状態に置かれた人々の復讐だ。近年の歴史の中でも最も驚くべき米大統領選は、アメリカが忘れていた有権者がドナルドに輝かしい勝利をもたらす中、ヒラリー、世論調査会社、ビジネス、メディア、ショービジネスのエリート層に完璧な屈辱を与える結果となった」とあった。
選挙戦中はクリントン候補とトランプ候補の支持が拮抗してはいたものの、投票日前日にはクリントンがやや有利とする世論調査やメディア報道が続いていた。「最終的にはクリントンが勝つだろう」と予測していたすべての「エスタブリッシュメント」(大企業、メディア、芸能界)に「ガツンと言わせた」ことをうまく表現した。読者に胸のすくような思いをさせる記事である。
デイリー・エクスプレスはトランプ氏が勝利演説で「すべての米国民の大統領になる」と発言した部分を取り上げ、「世界を揺るがせた信じられないほどすごい選挙に勝ち、ドナルド・トランプが『すべての米国民の大統領だ』と発言」とする見出しの記事を載せた。「信じられないほどすごい」と、「すべての」を大文字にし、「暴言によって米国を分裂させた」という反トランプ陣営の批判に対抗した。
サン紙は、国民投票で離脱派運動を主導した英国独立党の指導者ナイジェル・ファラージ氏の発言を紹介している。「今年発生した、大きな政治革命の一つだ」。トランプ氏の当選は「英国のEU離脱よりでかい」。
高級紙の反応は?
2番目の部類に入るのが、トランプ氏当選のショックが隠せないリベラル系高級紙だ。
その代表が左派系ガーディアン紙。トランプ氏を大統領として受け入れるほかになすすべはないため、トップ画面では「トランプ氏、すべての米国民のための大統領になると述べる」という、先の勝利演説からの発言を見出しに拾った作りにしているものの、リベラル系論壇の重鎮の一人でコラムニストのジョナサン・フリードランド氏による手厳しい論説も同時に掲載している。
フリードランドの記事のタイトルは「米国はこれまでで最高に危険な指導者を当選させた」だ。「米国民はどん底に入り込んだ」、新大統領は「不安定で偏見を持つ人物、性の搾取者で虚言癖を持つ」と切り捨てた。
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