「まさかの当選」を英国メディアはこう報じた 歓迎、落胆、中立・・・受け止め方は3種類

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ほかにタイムズやテレグラフなど大手高級紙も批判的な論調だったが、なかでも最も否定的な記事が多くウェブサイト上に掲載されていたのは、経済専門メディアのフィナンシャル・タイムズ(FT)だった。

電子メール・スキャンダルで揺れたクリントン候補だったが、「最後は僅差で勝つだろう」と予想していたことや、FT自身もエスタブリッシュメントの一部であるため、アンチ・エスタブリッシュメントのトランプの存在は目に余る存在だったのかもしれない。

「西側の民主主義モデルへの挑戦だ」

「ドナルド・トランプは戦後のリベラル秩序を揺るがせる」(ギデオン・ラッチマン氏)とした分析記事は、米国の同盟国が「民主主義の規範の理解に欠ける」トランプ氏の大統領就任に恐ろしい思いを本音では抱いている、と書く。

とどめは社説の「ドナルド・トランプの勝利は西側の民主主義モデルへの挑戦だ」だろう。「大統領は大統領候補とはほとんど違わないだろう」と予測した。「西側民主主義モデルへの挑戦」とはいかにも強い表現だ。

英メディアの報道の第3の部類は「中立派」。トランプ氏当選への驚きは変わらないが、不偏不党を貫くBBCはその典型といえる。

大統領選挙を追ってきたジョン・ソーペル記者はトランプ氏の当選は「米国の歴史に新しい章(チャプター)を作った」と書く。「新しい」というのは、トランプ候補は「どんな形の政府でも働いたことがなく、選挙でこれまでに選ばれたことがない。そんな人物が米国の大統領となる」からだ。「米国を偉大な国にする」とトランプ氏は約束した。「これからがその公約を実施する時だ」。一切、感情を交えない書きっぷりといえるだろう。

小林 恭子 在英ジャーナリスト

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こばやし・ぎんこ / Ginko Kobayashi

成城大学文芸学部芸術学科(映画専攻)を卒業後、アメリカの投資銀行ファースト・ボストン(現クレディ・スイス)勤務を経て、読売新聞の英字日刊紙デイリー・ヨミウリ紙(現ジャパン・ニューズ紙)の記者となる。2002年、渡英。英国のメディアをジャーナリズムの観点からウォッチングするブログ「英国メディア・ウオッチ」を運営しながら、業界紙、雑誌などにメディア記事を執筆。著書に『英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱』。

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