仮にトランプ氏に勝つチャンスがあるとすれば、そのカギを握るのはヒスパニック系米国人が多く住むフロリダ州やネバダ州だ。特にフロリダ州の選挙人数は29人と多く、この州を取り込めないかぎり、トランプ氏に勝ち目はないだろう。
もっとも、直近のワシントン・ポスト紙による調査では、全米のヒスパニック系米国人による支持率は、クリントン氏が67%、トランプ氏が19%と大きな開きがある。州別に見ると、フロリダ州ではクリントン氏が60%、トランプ氏が30%なのに対して、ネバダ州はクリントン氏が72%、トランプ氏が19%となっており、いずれにしても逆転は難しい情勢だ。
ヒスパニックを蔑ろにした共和党の戦略ミス
「これは、白人の票を増やすことだけに力を入れ、ヒスパックを蔑ろにした共和党およびトランプ陣営の大きな戦略ミスだ」と、フロリダ州を拠点とする共和党のベテラン選挙戦略家のリック・ウィルソン氏は話す。「共和党がこのような大きな戦略ミスを犯して、今後生き残れるかわからない」。
前述のシュミット氏も言う。「私たちはトランプが大統領選への立候補を表明した2015年6月の時点で、彼が選挙に負けることをわかっていたのかもしれない。トランプはメキシコ人移民を強姦犯、犯罪人呼ばわりし、ヒスパニックを完全に敵に回した」。
トランプ氏に反旗を翻したのはヒスパニックだけではない。選挙予想に定評があるFive Thirty-Eightによると、トランプ氏は女性支持率についても、クリントン氏に15%のリードを許している。さらに、従来共和党が強みを持っていた4年生大学卒業以上の学歴を持つ白人の有権者の支持率でも、クリントン氏がトランプ氏を上回っている。
もっとも、白人有権者を押さえたところで、トランプ氏の状況が厳しいことには変わりない。理由のひとつは、ヒスパニックの有権者が急拡大していることに伴って、全有権者における白人の影響力が低下していることがだ。それ以前に、白人におけるトランプ氏の支持率は、2012年の共和党候補ミット・ロムニー氏を大きく下回っていることもあって、黒人とヒスパニックからの支持率が高いクリントン氏との差を埋めることは難しいと見られている。
「史上最悪の大統領選」と言われるほど、両候補者の抱える問題が次から次へと露呈した今回の大統領選で最後に笑うのは、どちらの候補者だろうか。
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