コンサル界で「セクシー」は最高の褒め言葉だ 「つまらない」といわれる人が見落とす盲点
そうした切り口でマンガをとらえ直し、「ビジネス書×マンガ」という新しいジャンルをつくったことが、マンガ版ビジネス書ヒットの秘訣といえるでしょう。
また、「いきなり!ステーキ」というステーキ店が人気を集めているのも、「特別なときにゆっくり食べる高級な食べ物」という従来のステーキのあり方を、「立ち食いスタイルで質の高さと圧倒的な安さ」という切り口で編集し直したからこそ、ヒットしたのだと思います。
あるいは、新型の列車を開発する場合。従来どおりに走行速度や座席数、快適性などを追究するのはいいのですが、単なる移動手段としてとらえる発想はセクシーではありません。
もしかしたら、列車に乗る体験自体がお客様の心をつかむのではないか。そんな発想で情報を編集するのはなかなかセクシーです。
九州を走るクルーズトレイン「ななつ星」をはじめ、近年、高級ホテルのようなおもてなしが受けられる観光列車や足湯が設置された新幹線など、特別観光列車が人気を集めています。
それまでの列車に「体験」という要素をプラスしたことがヒットの秘訣だと考えられます。
これは、従来どおりに「列車はお客様を早く、快適に運ぶもの」という固定観念に凝り固まっていたら生まれない発想といえるでしょう。
マトリクスの軸の取り方が決め手
セクシーな発想は、軸の取り方が秀逸です。
言い方を換えれば、どんな切り口で情報を切り取るか、ということです。
「重要度」と「緊急度」のマトリクスは、多くの人が目にしたことがあるでしょうが、縦軸と横軸を取ってセグメントに分けるマトリクスは、発想を得るためのフレームワークとして、質の高い思考を可能とします。
たとえば、ビールの新商品を開発するケースで考えてみましょう。
ビールを切り取る軸はたくさん考えられます。価格、のどごし、容器(ビン、缶など)、辛さ、キレなどは、ビールをセグメントする軸としてよく使われてきたものです。
そこで、仮に「実は価格やのどごし、味以外に『舌触り』を求めるのではないか?」と仮説を立てて、ビールの「舌触り」を軸にしたらどうでしょう。
舌触りがビールのうまさを決めるという根拠やデータがあれば、セクシーな軸として関心を集める可能性があります。「舌触り」×「キレ」、あるいは「舌触り」×「辛さ」といった軸でマトリクスをつくって、他社商品をセグメントし、ライバルと差別化を図るという戦略も考えられるでしょう。
たくさんある情報の中から、どんな軸を抜き出し編集するか。そのセンスによって、仮説の確度は上がり、アウトプットのできも変わってくるのです。
ただし、どんなにセクシーな軸をとって、ユニークで優れた仮説を設定しても、それらを証明する根拠がなければ、その仮説は生かすことができません。
仮説を裏づけるファクト(事実)やデータが必要です。そういう意味でも、情報収集力は重要な能力なのです。
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