「新規公開89社の株価騰落率」ランキング 首位はAIサービスのロゼッタで株価12倍
抽選に当たれば、”ぬれ手で粟”で大儲けと、個人投資家に根強い人気がある新規公開(IPO)銘柄。日本郵政グループという国策IPOがあった昨年に続き、今年もLINEやJR九州(九州旅客鉄道)など話題のIPOがあった。
さて、IPOは本当に儲かるのか。昨年11月以降の1年間にIPOをした銘柄を対象に、公開価格に対する11月1日終値の騰落率でランキングしてみた。公開価格は、株式の上場に先立って一般の投資家が購入するときの株価。人気の高い銘柄の場合、抽選に当たらないと、この株価で株を手に入れることはできない。
付記した初値騰落率は、上場後に初めて株式市場でついた株価に対する騰落率。抽選に当たらず、上場時に市場で株を買ったとしたら、現在の儲けがどうなっているかを表している。
郵政グループ3社は初値から2ケタの下落
首位のロゼッタは、専門分野に特化した翻訳サービスのベンチャー企業。人工知能(AI)とネット検索を活用した翻訳ソフトが特徴だ。公開価格に対して現在の株価は12倍で、初値に対しても2.3倍になった。成長期待に加え、AIというテーマ性でも人気化している。2位の農業総合研究所は、野菜の直売所の運営会社だ。約6000の農家から仕入れて、スーパーの直売所コーナーなど全国800カ所以上で販売している。
注目の銘柄はどうだろうか。郵政グループでは、日本郵政が▲4.1%、ゆうちょ銀行は▲14.6%と公開価格割れ。かんぽ生命も0.6%とほぼ横ばいだ。初値との比較ではいずれも2ケタの下落で、公開直後に売り抜けた株主以外はほとんど含み損を抱えた格好だ。
LINEは、公開価格比でこそ29.1%の上昇だが、初値比では▲13.1%と下落。JR九州は公開価格比では17.7%の上昇ながら、初値からはわずかながら下落となっている。
集計した89銘柄を見ると、公開価格比では68銘柄が値上がりしているものの、初値比でも値上がりを維持しているのはわずか33銘柄にとどまる。ここ1年のIPOをみると、公開価格で買えればそれなりに儲かったものの、初値で買っていたらあまり芳しい結果にはならなかった、といえそうだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら