「合理的な説明」に窮する日米の中央銀行 米国は「利上げ見送り」で禍根を残す懸念

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しかし、先週の参院財務金融委員会に出席した黒田総裁は「超長期債を含め、イールドカーブ(利回り曲線)が低下し、フラット化したらいいとは考えてない」と述べ、「異次元の金融緩和」の根幹が間違っていたことを白状するような証言をしている。

一方、同委員会に出席した岩田日銀副総裁は国債のイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)については「長期金利をコントロールするのは困難と考えていたが、経験である程度できることがわかった」と述べた。

しかし、市場金利をコントロールできるのは、10年国債の利回りが「概ね0%」という特殊な水準にあるからだ。「償還まで保有すれば必ず損失を被る」マイナス金利下で国債に投資できるのは基本的に日銀しかいない。したがって、日銀がマイナス金利の国債を購入すれば、国債利回りをマイナスに誘導するのは簡単なことである。

「安倍3選」の障害になりかねず

また、日銀は発行済み国債の約3分の1を保有しており、国債利回りを「概ね0%」に近づけるためには保有国債を売却すればいいだけのことだ。

コントロールするのが難しいというのは、「10年国債の利回りを1%にする」というように、プラスの利回りの時の話である。日銀が発行済み国債の約3分の1を保有し、他の投資家が購入できないマイナス金利で国債を買い入れている状況で、10年国債利回りを「概ね0%」にコントロールするということは、赤子の手をひねるくらい、容易なことなのである。

「0%」という特殊な水準に市場金利をコントロールすることが出来ていることを以て、「長期金利をコントロールできる」というのは、神(市場)を冒涜するようなものでもあり、大きなしっぺ返しを受けかねない考え方である。

自民党が党の規約を改定したことで、規約上安倍首相の3選が可能になりつつある。しかし、「安倍3選」の上での大きな障害は、物価安定目標を達成できていない黒田総裁が2018年4月に任期を迎えることだ。ここまでに黒田日銀が推し進めてきた「異次元の金融緩和」の副作用と、効果がないことがいよいよ明らかになる可能性が高いからだ。

近藤 駿介 金融・経済評論家/コラムニスト

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こんどう しゅんすけ / Shunsuke Kondo

1957年東京生まれ、早稲田大学理工学部土木工学科卒業後、総合建設会社勤務を経て、31歳で野村投信(現野村アセットマネジメント)に入社。株式、債券、先物・オプション取引等を担当した後、野村総合研究所に出向しストラテジストとして活躍。再び、野村アセットに戻ってからは、担当ファンドが東洋経済の年間運用成績第2位に選出されるなどファンドマネージャーとして活躍。その他、運用責任者として、日本初の上場投資信託(ETF)である「日経300上場投信」の設定・上場を成功させ、1996年に野村アセット初のプロフェッショナル・ファンドマネージャーとなる。現在は金融や資産運用に関する客観的な知識を広めるべく、合同会社アナザーステージを立ち上げ、会長兼CEOとして、一般向けの金融セミナーや投資セミナーなど専門家向けセミナー等も開催中。自身が手掛けるメルマガ『マーケット・オピニオン』は、個人投資家から圧倒的な支持を得る。

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