ベンツEクラス最強「AMG E63」のスゴい実力 612馬力の爆速モンスターはここまでスゴい

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まったくの余談だが、あのランボルギーニ ウラカンでさえ4輪駆動が620psであるのに対して、後輪駆動モデルは最高出力を抑えた580psなのだ。最終的にはパワー(数値)ではなく物をいうのはシャシーの出来だとはいえ、後輪駆動の612psは飛び道具以外のなにものでもない。

E63 4マチックプラスは標準装備としてフロント9.5J×19、リア10J×19インチサイズの高光沢仕上げチタングレー塗装の10本スポークホイールに、フロント265/35ZR19、リア295/30ZR19のタイヤをセットする。一方のE63 S4マチックプラスは、フロント9.5J×20、リア10J×20インチサイズのホイールに、フロント265/35ZR20、リア295/30ZR20サイズのタイヤをセット。ホイールは高光沢仕上げのマットチタニウムグレーカラーを採用した5ツインスポークデザインとなる。これらのタイヤを収めるために、E63 4マチックプラス/E63 S 4マチックプラスでは標準仕様のEクラスよりも17mmフロントフェンダーを拡大している。

ハンマーの再来か

ラグジュアリーな雰囲気だったEクラスのインテリアは、E63 4マチックプラスでは精悍なモノトーンとコーディネイトされている。その趣はいかにもスポーツカー然としたもので、おなじEクラスでもこうも印象が違うのかと感心する。ステアリングホイールはフラットボトムDシェイプ型で、もちろんAMGデザインのアイテムだ。ドアトリムからダッシュボードまでがカーボンパネルに覆われ、センターコンソールにはAMGではお馴染みとなったIWCデザインの時計も埋め込まれている。シートはブラックカラーのナッパレザーとダイナミカマイクロファイバーのコンビネーションで、金属のパドルシフトやシフトノブにはAMGのロゴが燦然と輝く。

E63シリーズは、LAショーでワールドプレミアを迎えた後、翌2017年1月16日まで期間で特別仕様の初回限定モデル、E63 S エディション1の受注を行う。メルセデスのニューモデルでお馴染みとなったこの初回限定モデルは、ナイトブラックマグノと呼ばれるボディカラーを採用。サイドシルパネルにダイナミックストライプを配し、同時にマットブラックの20インチ鍛造ホイールを装着する。

インテリアではブラックのナッパレザーの表皮とフロアマットにイエローのトップステッチを施したほか、IWCがデザインしたアナログ時計も装備し、さらにステアリングホイールにはエディション1ロゴを加えた。もちろん、カーボンファイバーのトリムも標準装備されている。ちなみに、エディション1のデリバリーは2017年3月から順次回する予定であるという。

AMG E63をやり過ぎだと言うつもりなどさらさらさないが、このぶっ飛んだスペックとパフォーマンスを考えれば、少し速いAMGとしてのE43のポジションとキャラがラインナップの中で活きてくるような気がしないだろうか。そう、E43というニューモデルは、E63を頂点とするこのラインナップを前提に緻密に計算され、仕組まれたものだったのだ。

そんなAMGの戦略に感心しながらも、そこはやはり久々にスポーツセダン好きをワクワクさせる、ウルトラホットなモデルがAMGから登場したことを素直に歓迎すべきだろう。600psを超えるそのパフォーマンスと男気溢れる後輪駆動の走りを楽しめるという設定をして、中高年のクルマ好きは(私も含めて)、ついぞW124のボディに6リッターのV8をぶち込んだAMG、ハンマーを思い起こしたりはしないだろうか。

(文・櫻井健一)

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