ショップチャンネル、「1日20億円」への超挑戦 11月1日に大記録に挑むワケ

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マーチャンダイジング3部エレクトロニクス&フード&アザーズグループのバイヤー、谷内正史氏

20億円を目指すその日、バイヤーたちはどう過ごすのか。マーチャンダイジング3部エレクトロニクス&フード&アザーズグループのバイヤー、谷内正史氏は言う。

「徹夜ですね。売れそうな商品は深く在庫を持っておくのですが、それでも足りなくなると番組の最中にメーカーさんに『あと500個なんとかなりませんか』とお願いすることもある。それがダメなら別の商品を売らなきゃいけないので、ゲストの方に『今からスタジオに来られませんか』とお願いします」

24時間生放送の現場は常に戦場だ。しかし「1日20億円」を目指す11月1日は間違いなく、これまでで一番の修羅場になるだろう。20億円の言い出しっぺ、藤永氏は言う。

「今電話が何本掛かってきていて、いくら注文が入ったかを示すシステムの画面は2秒に1回更新されますから、その日は画面に釘付けになるでしょうね」

しかし、このシステムを見ただけでは20億円達成を祝うことはできない。

「一旦注文が入っても安心はできません。テレビショッピングって、注文した後もキャンセルできますから。20億円を達成できたかがわかるのは、売り上げが確定してから。その時は地味にガッツポーズするんでしょうね」。現実は厳しいのである。

もし20億円に届かなかったら?

こんな修羅場の中で社長は何をするのだろうか。「実は当日になると、社長の仕事はあまりない。スタジオの脇で夜食のカレーをよそいます。翌日には倉庫で朝一番に出荷セレモニー。お届けする荷物の量が半端じゃないですから、物流も大変です」。

もし20億円に届かなかったらどうします?「その時は、そっとしておいてください」(篠原社長)。

今年、テレビショッピング大手は、それぞれ周年を迎える。ジャパネットたかたが会社設立30周年、QVCジャパンが放送開始15周年だ。インターネット全盛の時代にしぶとく生き残る最大手ショップチャンネル20周年の現場に、時代の荒波を乗り越えようとするプロフェッショナルたちの意地を見た。

大西 康之 ジャーナリスト

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おおにし やすゆき / Yasuyuki Onishi

1965年生まれ。愛知県出身。1988年早稲田大学法学部卒業、日本経済新聞社入社。欧州総局(ロンドン)、日本経済新聞編集委員、日経ビジネス編集委員などを経て2016年4月に独立。著書に『稲盛和夫 最後の闘い JAL再生にかけた経営者人生』『ファースト・ペンギン 楽天・三木谷浩史の挑戦』(以上、日本経済新聞出版)、『三洋電機 井植敏の告白』『会社が消えた日 三洋電機10万人のそれから』(以上、日経BP)、『ロケット・ササキ ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正』(新潮社)、『起業の天才! 江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』などがある。

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