新顔「アイモバイル」とは、どんな会社なのか マザーズに上場、遅れてきた大型ベンチャー
田中社長は京都府出身。自動車のエンジニアを目指し、舞鶴工業高等専門学校に進学した。ところが「エンジンは驚くほど難しく」、あえなく挫折。「就職しなくてもいいか」とも考えたが、教師に「当校は就職率100%だから」と言われ、最初に就職したのがカルビーだった。
2000年4月にカルビーに入社。企画部門を希望したが、最初の配属はポテトチップスの生産ラインの管理だった。「出来立てのポテトチップスは美味しかったが、営業の力を磨きたい」と8カ月で退職を決意。次は「インターネット革命の時代が始まる。営業の力をつけよう」と光通信系の企業に再就職したが、営業ノルマがきつく「涙が止まらなかった」。こちらも1年ほどで退職している。
転機は2002年に訪れる。ネット専業広告の会社に転職し「動画広告が来る」と確信した。入社4年目、営業部長をしていた時に「社長になってくれ」とまで言われたが、「ここでやることはもうないかな」と、日本IBMの技術者・野口哲也(現アイモバイル取締役)とともに起業したという。
ふるさと納税サイトが急成長
アイモバイルはふるさと納税を支援するサイト「ふるなび」を運営している。全国の各市町村に了解を取り付けて、ふるさと納税の見返りにもらえる商品を掲載。ふるさと納税の仕方を指南している。
ふるさと納税の受入額は2015年度で1652億円だった。田中社長は「市場規模は今年は3000億円となる見通しだ。アドテク広告よりも市場の伸びが大きい」と目を輝かせる。
「ふるなび」の特徴は、ふるさと納税の定番品である食肉のほか、家電が多いことだ。NEC(山形県米沢市)やVAIO(長野県安曇野市)、マウスコンピューター(長野県飯山市)のパソコンなどがふるさと納税の見返りにもらえる。現在掲載している市町村は約50だが、中長期で500まで広げる計画だ。
業界最大手はトラストバンクの「ふるさとチョイス」、ソフトバンク系の「さとふる」、楽天系の「ふるさと納税」が続き、「ふるなび」は4番手だが、集客の主要プレイヤーはこれら4社に限られるほか、各市町村と交渉する手間があるため、先行メリットが大きいと田中社長は見ている。
ネット広告に加え、ふるさと納税サイトという変わった成長事業を併せ持つアイモバイル。今後、市場はどのように評価していくだろうか。
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