日経平均の「次の重要な節目」はいくらなのか JR九州上場が映し出す日本株の底堅さ

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10月25日のJR九州の東証上場はひとまず成功。日本株はもう一段上昇しそうだ(撮影:尾形文繁)

10月25日のJR九州上場は順調な滑り出しとなった。鉄道事業では、2013年からクルーズトレイン「ななつ星in九州」が話題を呼び、九州の魅力を世界に発信している。ちなみにななつ星の「7」は、7県の九州、7つの観光素材(自然、食、温泉、歴史文化、パワースポット、人情、列車)、7両の客車に由来するという。

TKG専門店も運営するJR九州は魅力的

同社の初値は3100円となり、公開価格の2600円を2割近く上回った。冠にJR(旧国鉄)と付くわけだが、実は同社の実質的な大黒柱は鉄道ではなく、駅ビルや不動産だ。

売上高構成比では運輸サービス事業が5割弱に対し、不動産事業が2割弱にとどまる。しかし、それぞれ利益ベースでは4割ずつを占め、ほぼ同水準。福岡中心に拡げている駅前開発等が収益を伸ばし、ドラッグストアや外食チェーン等の非鉄道事業が底上げしている。

意外と知られていないが、農業・フードサービス事業では「TKG(たまごかけごはん)専門店」を展開。九州ブランドの特産品(卵やコメ)を使い、東京都内でも提供している。

会社側は安定的な収益が確保できる不動産事業の拡大を見込み、配当性向30%を目安にしている。上場初日から株主優待や配当利回りに着目した投資家の買いも集まったもようだ。

ただ、JR九州の株価は徐々に落ち着いていくだろう。昨秋に上場した郵政グループが典型例だ。郵政3社(日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険)とも公開価格を2~3割上回る初値を付けたが、その後は株価低迷が続いている。

JR九州の株価も、郵政グループのようになってしまうのだろうか。なるほど、25日現在の時価総額は4200億円弱と、郵政グループに比べて3割程度にとどまるものの、大型上場には間違いない。

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