日経平均の「次の重要な節目」はいくらなのか

JR九州上場が映し出す日本株の底堅さ

だが勢いのある中小型の新規公開株(IPO)でも、上場1~2週間後には活発な売買は一巡してしまうのが相場だ。高値づかみのリスクもある。もし、読者の中でJR九州株の購入を考えている方がいらっしゃるなら、値動きが活発だったとしても、短期的に飛びつく投機は控えたほうがいいだろう。

同社の業績に関しては、今2017年3月期に黒字転換が見込まれる鉄道事業と高い収益が見込まれる不動産事業の両輪が噛み合えば、さらに安定性と成長性が増していくと思われる。利益が伸びるのだから中期での株価の伸びシロもある。株価が落ち着き、指標面から見て割安になったときに投資すれば、成功のチャンスもありそうだ。

日経平均の「次の重要な節目」は1万7572円

さて、日経平均株価は海外勢の買い越しから、1万7000円台が定着しつつある。9月末には石油輸出国機構(OPEC)による想定外の減産合意があった。10月に原油価格が50ドル台を回復するなか、サウジアラビアは国際金融資本市場で国債を発行し、約1.8兆円を調達した。今年1~3月にみられた「原油安→財政赤字→株売り」のスパイラルも一巡、足元では海外勢が日本株を2週連続で買い越しへと転じている。

さらにテクニカル面からも、需給改善の兆しがうかがえる。日経平均は長期投資家の売買コストとされる200日線(約1万6600円:10月25日時点)を上回る状態が続いている。今後はこの200日線が、下値支持線(当面は下がってもこの価格までというライン)のように意識されそうだ。

11月8日の米大統領選の結果次第では、日本株も失速することも考えられる。だが、仮に調整しても公的マネー(日銀や年金等)が下支えしそうだ。足元では民主党候補のクリントン氏優勢が続いている。事前の各種世論調査のような、順当な選挙結果となれば、市場の焦点は12月中旬の米利上げへ移っていきそうだ。日銀短観(9月調査)によると、国内企業の想定為替レートは約108円。仮にドル買い円売りが進めば、国内企業業績に対する見直し期待も高まりそうだ。

2016年の日経平均は終値で1万4952円(2月12日、6月24日)まで2度急落している。今から振り返ると、この水準は①年初来から21%下落、②200日線からのかい離率がマイナス22%、③PER(株価収益率)13倍割れ、④PBR(株価純資産倍率)1倍手前と、テクニカル面とバリュー面で売られ過ぎの水準だったといえる。

株価を見る場合、代表的な株価の底値形成パターンとして「Wボトム」(アルファベットのWのように2回安値をつける)が挙げられる。

これを日経平均にあてはめて考えてみると、2つの安値の間の「戻り高値」となる1万7572円(4月22日)がテクニカル面での重要な節目となる。仮に終値ベースで同水準を上回ると、底入れ確認とみなす。すると、「売り方」(株をカラ売りして利益を出そうとする勢力)による損失限定の買い戻し等が相場を押し上げ、商いもさらに増大すると期待する向きも多いようだ。

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しかし、足元の東証1部売買代金は連日標準的な水準とされる2兆円を下回っており、一段の上昇を期待するにはややパワー不足だ。それだけに、いったん1万7500円前後で戻りが一杯となることも考えておきたい。最終的には、11月8日の米大統領選の結果次第だが、日本株は需給面と業績面の2つ側面ら、戻りを試す条件が徐々に整いつつある。

さて、私が所属している非営利の団体・日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)では、「テクニカル分析について学びたい」という読者の方々のためにハンドブック(初級編①)を作成しました。前回大好評をいただいた基礎編に続く冊子です。無料で配布しておりますので、興味のある方は、NTAAのHPからぜひお申し込みください。なお、基礎編とあわせて2冊申し込むことも可能です。

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