JAL、ANAも身構える“中東の翼” エミレーツ航空が羽田-ドバイ便を就航

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昨年9月には、国際線の競争激化により不振に陥った豪最大手カンタス航空とエミレーツが、豪州―欧州間の共同運航で業務提携を締結。前出の国内航空会社幹部は、この提携について「カンタスがエミレーツのために、豪州の旅客をドバイまで運ぶ“下請け”となったことを意味する」と解説する。

従来、カンタスはブリティッシュ・エアウェイズと共同運航契約を行っていたが、その契約を破棄して寝返るものだったため、業界内では「カンタス・ショック」と騒がれた。

国際線はイベントリスクの影響も

存在感を増す中東勢だが、国際線はイベントリスクの影響が大きく、変動の波にさらされやすい世界だ。2000年代に米同時多発テロやSARS(重症急性呼吸器症候群)、リーマンショックなどに翻弄され、10年にJALが経営破綻の憂き目を見たことは、記憶に新しい。

猛烈な設備投資を推進するエミレーツの経営戦略は、そうした非常時に対応しきれない危険性もはらむ。「世界には70億人の人々が住んでおり、グローバル化に伴って移動の需要はますます高まっている。過去の業績は25年連続で黒字だ。われわれは楽観的に見ている」。アンティノリ副社長はそう自信のほどを語った。

はたしてその言葉どおり、成長を続けられるのか。“中東の翼”が今後、世界の航空業界で台風の目となることだけは、間違いないだろう。

(撮影:今井 康一)
 

桑原 幸作 東洋経済 記者
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