株価急落で露呈した妖怪アベノミクスの本性 浜矩子がアベノミクスに反対する理由(その2)

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市場ができることは市場に任せておけ

——成長すべき分野を支援するのは、政府の役割ではないのでしょうか?

浜矩子(はま・のりこ) 同志社大学大学院ビジネス研究科教授。 1952年生まれ。一橋大学経済学部卒業。三菱総合研究所ロンドン駐在員事務所長、同研究所主任研究員を経て、2002年より現職。専門はマクロ経済分析、国際経済。専門はマクロ経済分析、国際経済。 『「通貨」を知れば世界が読める』(PHPビジネス新書)、『新・国富論』(文春新書)、『超入門・グローバル経済』(NHK生活新書)など著書多数。

アベノミクスの人々には、その意味で政策の役割に関する誤解もありますね。政策の仕事は、強き者の味方をすることではない。成長産業を特別扱いすることではない。

彼ら(成長産業)は、放っておいても「市場」の中で自己展開のチャンスをつかんで行くわけです。政治と政策は、市場ができないことをするために存在する。

市場ができないこととは何か。それは弱者救済です。

弱者にも、当たり前のことですが、生きる権利がある。弱者にも、世の中における役割がある。強きも弱きも、老いも若きも、大きい者も小さい者も、みんなそれぞれのやり方で社会をつくり、社会を支える。

そのような土台のしっかりした経済社会が形成されるように目配り・気配りする。それが政治・政策・行政の仕事でしょう。

——とはいえ、インフラ輸出などは積極的に進めていくべきでは?

何のため、誰のためのインフラ輸出なのかが問題ですね。インフラ輸出先のお役に立てるため? それとも日本が一番になるため?? 

(写真:木村文平、ジョーン・ロビンソンの写真は、「経済思想の歴史」、THE HISTORY OF ECONOMIC THOUGHTより)

東洋経済オンライン編集部

ベテランから若手まで個性的な部員がそろう編集部。編集作業が中心だが、もちろん取材もこなします(画像はイメージです)

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