くら寿司、天然魚ネタ投入は何がスゴいのか 新たに稼働した加工工場で狙う大勝負

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天然魚プロジェクトを打ち出した背景には、回転すし業界の競争激化がある。業界首位のあきんどスシローは、今後3年間で100店舗出店計画を掲げる。

9月には初の都心店舗「スシロー南池袋店」をオープンし、連日賑わいを見せている。ゼンショーホールディングスは後発ながら「はま寿司」の怒涛の出店を進め、業界3位に浮上、年間50店超の出店で拡大路線を突き進む。

天然魚で100億円を目指す

大阪府貝塚市の工場に併設する直売所や回転すしは18日のオープンを予定している(記者撮影)

くらコーポレーションは目下、業績絶好調。サイドメニュー拡充が奏功し、最高益更新を続ける。とはいえ、ライバルとの競争が厳しさを増す中、主力のすしメニューを強化しなければ顧客にいずれそっぽを向かれることになる。そういった意味で、天然魚を商品ラインナップに加え、差別化を図る方針だ。

マグロやサーモンなど主力のすしネタが高騰している事情もある。中国など新興国の需要急増を理由に、マグロはここ10年でおよそ1.5倍に、サーモンもおよそ1.4倍に値上がりした。「これから加速度的に値上がりしていく可能性がある」(業界関係者)

一方の天然魚はセリを通さずに漁船などから直接買い入れる方式ということもあり調達コストを抑えることができる。天然魚商品の販売比率が上がれば、主力すしネタの仕入値上昇影響を抑えることができるのだ。

こういった天然魚プロジェクト全体で、当初は50億円、5年後に100億円の売上高を目指す。

田中社長は定置網業者から「(一船買い契約の)オファーがすでに複数ある」と明かす。貝塚市の工場増設や、他県での工場新設も視野に入れているようだ。思惑通り、プロジェクトの規模を順調に拡大することができるか。乾坤一擲の事業は始まったばかりだ。

梅咲 恵司 東洋経済 記者

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うめさき けいじ / Keiji Umesaki

ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。

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