「アメトーーク!」日テレ独走を止められるか 日曜ゴールデン進出で吹く新風

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思わぬ追い風もある。この10月から、視聴率調査を担当するビデオリサーチ社が、関東地区を対象に新しい視聴率調査システムを導入しているのだ。これからは、生でテレビを見る「リアルタイム視聴」に加えて、録画したものを見る「タイムシフト視聴」も調査して、両者を合算した「総合視聴率」という数字も発表するのだという。世帯構造の変化やデジタル技術の進歩に対応して、タイムシフト視聴が広がっているため、その価値が見直されてきているのだ。

若い世代の人たちは、ドラマや深夜のバラエティ番組を録画視聴することも珍しくない。これまでは、ゴールデンタイムはファミリー層か中高年に向けた番組しか数字を取れないと言われてきた。だが、視聴率調査の仕組みが変わることで、その定説も覆されるかもしれない。「アメトーーク!」がゴールデンで通用するかどうかは、テレビの行く末を見きわめるためにも重要な意義を持っている。

他の局はどう迎え撃つのか

もちろん、テレビ朝日の攻勢に対して、他局も指をくわえて見ているだけではない。TBSではその裏で新番組「クイズ☆スター名鑑」が始まる。演出を手がけるのは、いまバラエティ界で最も注目されているテレビマンの1人である藤井健太郎。毒気に満ちた悪意のある笑いを得意とする気鋭の演出家だ。

現在はレギュラー番組として「水曜日のダウンタウン」を担当。特番でも「クイズ☆正解は一年後」「芸人キャノンボール」など話題の番組を次々に世に送り出している。「クイズ☆スター名鑑」では、ロンドンブーツ1号2号、おぎやはぎ、FUJIWARA、有吉弘行がレギュラー出演して、他にも芸人が多数登場することが予想される。「アメトーーク!」とはキャスティングの面でも競合する関係になりそうだ。

また、それらを向こうに回し、フジテレビは古舘伊知郎の新番組「フルタチさん」で勝負をかける。久々のバラエティ本格復帰となる古舘がこの激戦区でどこまで戦えるのか。テレビ東京は「モヤモヤさまぁ~ず2」を継続。ユルさを売りにしたこちらの番組にも根強いファンは大勢いる。

迎え撃つ日本テレビは自信満々。「日曜もアメトーーク!」「クイズ☆スター名鑑」が始まる10月16日には「ザ!鉄腕!DASH!!」と「世界の果てまでイッテQ!」を合わせた2時間特番をぶつけた。2つの番組の出演者が交換留学として双方の企画に挑戦するという内容で、従来の固定客をがっちり逃がさない構えだ。王者・日本テレビを打ち倒すことができるのか。バラエティ戦線の息詰まる真剣勝負は「真田丸」の戦国合戦に負けないくらいスリリングだ。

ラリー遠田 作家・ライター、お笑い評論家

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らりーとおだ / Larry Tooda

主にお笑いに関する評論、執筆、インタビュー取材、コメント提供、講演、イベント企画・出演などを手がける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)など著書多数。

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