物価上昇率2%の日銀シナリオを検証する 景気・経済観測(日本)

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より詳細にみると、2013年度にはすでに日本経済がデフレ状態に陥る前の1990年代半ばまでと同じレベルまでシフトアップしており、2%の物価目標が概ね達成されるとしている2015年度にはさらなる上方シフトを仮定していることが推察される(ただし、あくまでも需給ギャップと物価上昇率との関係からみたもので、実際の見通しは、円安に伴う輸入物価上昇の影響を織り込んでいると思われる)。

日銀は消費税のGDPへの影響をより小さく見ている

このような日銀の見通しには2つのハードルがあると考えられる。

ひとつは、消費税率を2度にわたって引き上げても潜在成長率を明確に上回る成長を維持できるのかという問題である。この点については、日銀は消費税率引き上げの影響を比較的小さくみている。展望レポートでは、消費税率引き上げがもたらす年度毎の成長率への影響を「2013年度がプラス0.3%程度、2014年度がマイナス0.7%程度、2015年度がプラス0.2%」としている。

このうち、2013年度のプラスは税率引き上げ前の駆け込み需要によるものであり、反動による成長率へのマイナスの影響は駆け込み需要による押し上げのほぼ倍となることを考えると、2014年度に消費税率を3%引き上げたことに伴う実質所得の減少による影響はマイナス0.1%程度しか見ていないことになる。

これはニッセイ基礎研究所マクロモデルによるマイナス0.72%(マイナス0.24%×3)、内閣府のマクロ計量モデルによるマイナス0.45%(マイナス0.15%×3)に比べてかなり小さい。

ただし、日銀の実質GDPの見通しが強いのは、消費税率引き上げの影響を小さくみているだけというわけではない。日銀の実質GDPの見通しから消費税率引き上げの影響を除くと、2013年度が2.6%、2014年度が2.3%、2015年度が1.4%となる。

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