なめるな危険!「電気自動車レース」の超魅力

日本のメーカーが参加しないのは大問題だ

「OK」――。待つこと10分強。彼女は「仕方ないわね、これ使って」という感じで、裏が真っ白なパスを差し出した。大メディアの皆さんは、名前入り顔写真入りの取材パスを受け取っている。ワシも事前に写真を送ったのに…。

いえね、日本でもありますよ。大メディアの皆さんはプリントされた名札で、フリーランスはマジックで手書きの名札、とかね。全然、気にしてません。入れてもらえるだけありがたいですから。

ヒュ、ヒュイーン…耳をつんざく爆音はない

しかしバックスタンドにたどり着くと、気分はすぐにハイになった。ヒュッ、ヒュイーン。ヒュッ、ヒュイーン。銀、青、赤、色とりどりのマシーンが近未来的な音を残して目の前を駆け抜ける。「シェイクダウン」と呼ばれる試験走行の真っ最中である。

モーターで走るから排気音も排気ガスもない

バックスタンドに面した直線を駆け抜ける時には最高時速225㎞に達するが、F1レースのような耳をつんざく爆音は聞こえない。隣の人と余裕でおしゃべりできるレベルである。モーターで走る電気自動車には排気音がないのだ。もちろん、排気ガスも出さない。

ウォン、ウォン、ウォン。カッ、カーンという、五臓六腑に染み渡るF1カーの排気音になれたレースファンには、いささか物足りないかもしれない。だが、ヒュッ、ヒュイーンというFEのモーター音には、スターウォーズ的な未来感が漂う。そして、その静かさとクリーンさゆえ、人の集まりやすい市街地での開催が可能になったことも忘れてはいけない。F1の威力をマッチョでパワフルとすれば、FEはクリーンでスマート。今風なのである。

今年のFEは香港を皮切りにマラケシュ、ブエノスアイレス、メキシコシティ、モンテカルロ、パリ、ベルリン、ブリュッセル、ニューヨーク、モントリオールを転戦する。すべて舞台は市街地である。

FE主催者はマラソンのように自治体の協力を得てコースの公道を通行止めにし、街のど真ん中に二日間限定のサーキットを出現させる。F1の公道レースはモンテカルロとマカオくらいのもので、あとは人里離れたサーキットで開催される。日本の鈴鹿サーキットなど、交通アクセスは絶望的で、観客動員のネックになっている。

参戦10チームの中にはフランスのルノー、シトロエン、ドイツのアウディ、英国(?)のジャガーといった欧州自動車のメーカーやインドのマヒンドラが名を連ねる。電気自動車(EV)ベンチャーでは中国のネクスト、テチータ、中国系米メーカーのファラデー・フューチャーなどが参戦している。

次ページ記者会見を覗いてみると・・・
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