日本株、閑散相場にある「意外なチャンス」 気になる「米株暴落のサイン」は点灯寸前継続

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ちなみに、石油輸出国機構(OPEC)の盟主であるサウジアラビアは、世界最大の石油会社であるサウジアラムコを2017年に上場させる予定だ。同社は上場した瞬間、時価総額で世界トップとなると言われている。

オイルマネー活発化は来年、当面は小型株が活躍か

時価総額は2兆ドル(約200兆円強)との試算だ。日本最大の時価総額を誇るトヨタ自動車が20兆円、昨年11月に上場した日本郵政グループ3社の時価総額が当時で17兆円だったことを考慮すると、ケタ違いの規模である。売り出し株数にもよるが、これだけの上場案件を成功させるため、サウジアラビアや幹事証券としては、ある程度、原油価格を引き上げたいところだろう。こうしたロジックから原油価格上昇に伴いオイルマネーの活発化は期待できるが、これは来年以降の話と見る。

政府によるスケジュールがはっきりとした成長戦略や、規制緩和策が出ない限り、外国人投資家による積極的な日本株買いは期待できない。企業の決算発表が徐々に増加することから、個別対応の相場展開はしばらく続き、売買代金2兆円割れは常態化するだろう。

ただし、意外に感じるかもしれないが、個人投資家の動きは活発化している。足元のマザーズ市場の売買代金は、4営業日連続で1000億円を超えている。これは7月中旬以来のボリュームだ。

7日は下落したが、直近にIPO(新規公開株)銘柄が上場後も上げ幅を拡げるなど、明るい材料が散見される。また、東証2部指数、日経JASDAQ指数に関しては、戻り高値を上抜きそうな動きが見られる。知名度が低い銘柄への投資となると身構えてしまう投資家の方も多いだろうが、東証マザーズ上場銘柄やJASDAQのバイオ株などで値動きの大きさを楽しむ一方、JASDAQや東証2部に多い内需小型の好業績銘柄を探し出すのも、面白いかもしれない。

もし、読者の方が投資家なら、秋の夜長には、動かない日経平均やTOPIX、コア30銘柄など大型株の上がらない理由を考えて苦悶するより、時価総額が小さく、増収増益を数年続けているような内需の小型株を発掘するほうに時間を費やすべきと考える。
 

田代 昌之 マーケットアナリスト

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たしろ まさゆき / Masayuki Tashiro

北海道出身。中央大学文学部史学科日本史学科卒業。新光証券(現みずほ証券)、シティバンクなどを経てフィスコに入社。先物・オプション、現物株、全体相場や指数の動向を分析し、クイック、ブルームバーグなど各ベンダーへの情報提供のほか、YAHOOファイナンスなどへのコメント提供を経験。経済誌への寄稿も多数。好きな言葉は「政策と需給」。ボラティリティに関する論文でIFTA国際検定テクニカルアナリスト3次資格(MFTA)を取得。2018年にコンプライアンス部長に就任。フィスコグループで仮想通貨事業を手掛ける株式会社フィスコデジタルアセットグループの取締役も務める。

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