漂流するルネサス、成長戦略は棚上げ 「猫の目」のトップ人事、オムロンの作田会長がCEOに

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ルネサスの鶴丸哲哉社長は社長兼COOへ

決算会見の席上では鶴丸社長に対し、構造改革や成長戦略、事業の見通しなど、ルネサスが抱えるあらゆる問題について質問が寄せられたが、「革新機構と計画を策定中」とノーコメントを貫いた。さらには「成長戦略を描く前に、過去3年間でルネサスが何をやってきたのかを振り返り、反省することが必要」と繰り返した。

しかし今、ルネサスに必要なことは、1日も早く成長戦略に向けて改革を進めることではないのか。増資完了までの数カ月間、海図を持たずに漂流を続けると表明しているも同然である。

現時点で決まっているのは、6月末に後工程3工場をジェイデバイスに売却し、9月末までに3000人規模のリストラを行うこと。さらに今期中には、携帯電話向け半導体事業の売却ないし清算を計画し、鶴岡工場をはじめとする工場売却も進めようとしている。要するに、リストラ以外は何も決まっていない。これでは現場のモチベーションは下がる一方だろう。

すでに方向性は決まっているはずだが…

ルネサスが増資完了後に中期経営計画を発表する狙いは、事業の方向性を明らかにして一段のリストラを表明するからにほかならない。新体制の下でルネサスがどんな姿を描いているのかについては、すでに車載用や産業用のマイコンを中心とした半導体メーカーになる方向性を明らかにしているはずだ。

しかし今回はそれさえも封印し、鶴丸社長は口を閉ざしてしまった。経産省や革新機構の思惑で再建策の策定が遅れているかは不明だが、本当にスピードある改革を進めることはできるのだろうか。

(撮影:梅谷 秀司)

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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