年収1億円超の70歳が送る意外と地味な生活 資産30億円の超富裕層はこうして財を成した

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榎本さんは海外の大学を卒業後、ずっと東京都港区に住んでいる。現在の自宅は22年前に購入した。勤めていたのは広告関連のビジネスを手がける編集プロダクションだ。30年もの長きにわたってプレイングマネジャー(今でいうところの執行役員か)を務め、年収は悪いときで800万円前後、バブル時代には2500万円に到達していた時代もあった。退職金を含めた生涯収入は5億円ほどだった。

とにかく仕事一筋でお祭り騒ぎが大好き。気が付いたら還暦一歩手前になっていた。働き続けるつもりだったが、同時期に妻が立ち上げたビル管理会社の取締役になった。「なかなか時間を作ってあげられなかったから、罪滅ぼしのつもりでね」。3000万円近かった退職金は「勝手に使えば?」と妻に言われ、かつて榎本さんの取引先だった企業の株式になっていて購入後は一度も売買していない。

東洋経済オンラインが上場企業の生涯収入を試算したところ、平均は約2億2000万円。一般的にも2億円はひとつの目安とされ、榎本さんは会社員としては高水準な所得を得たのは間違いない。ただ、それだけでは今のような資産家にはなれていないだろう。妻の存在が大きいのだ。

榎本さんの妻は相当なやり手だ。2人の子どもを産み育てながらも、外資系金融機関を渡り歩き5年ほど前に引退、今年還暦を迎えた。この業界の人にとってはある意味当たり前のことらしいが、年収は2000万円を切ったことがなく、ボーナスの最高額は年3億円だったそう。退職金はなかったものの25年間でなんと20億円以上の所得を荒稼ぎした。

一見、超富裕層には見えないが

ただ、この榎本さん家族は一見すると、サラリーマン時代に夫妻で30億円も稼ぎ、現在は年収1億円以上を得ているような超富裕層には見えない。榎本さん自身も妻もとても感じのいい人たちで、子どもたちも含めてプライベートでは一切気取らない。「社会の役に立つような小さなことを続けていきたいわね」と妻。長男は「まずは勉強、大きな会社で事業を覚えたい。機が熟せば自分の得意分野で起業を考えたい」と話す。榎本さん本人は「タクシーにはあまり乗らないようにしているんだ。健康のため歩くのがいちばん。だからゴルフも週2回は行く。いい言い訳になるかな」。

サラリーマン時代の名残りなのか、榎本さんは今でもよく新聞や雑誌に目を通し、情報収集を欠かさない。ランチは少しだけセレブ。帝国ホテルや渋谷のセルリアンホテルの和食などが好みでよく行く。1回当たり1万円程度を払う。が、夜は毎日飲み歩くというわけでもない。むしろ妻の手料理で晩酌のほうがお好みだ。

車こそ800万円のレクサスを持ち、次はマセラティを考えているが、時計はセイコー。30代の時から使っているそうで「死ぬまでこれで十分だよ」。クレジットカードもゴールドカードを持っているワケでもなく、普通のカードで「クレジットカードにクレジットされる必要ないからね」。妻にいたってはまったく高額品に興味がない。高額OK割高NG。普段の生活は普通の家庭と極端に差があるようにも見えない。世界基準で「超富裕層」の部類に入るファミリーがこの目立たなさ。ゆえに、日本における富裕層ビジネスはとても難しい。

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