次なる革命では、国家の貧富による不公正が問われることになるだろう。これは現在、世界中で強まっている反移民の機運とは逆の方向である。
自国に納税や兵役の義務を負っている人々は、移民を際限なく受け入れることに対して、強い抵抗感を示している。だが、重要なステップは、移民を批判の対象とすることではない。経済的な自由を促進することだ。
ポール・サミュエルソンが1948年の論文「国際貿易と要素価格均等化」で明確に示したように、完全な自由貿易体制の下では、市場の力がすべての生産の要素価格を均等化する。こうした世界では、人々は高賃金を得るため他国へ移る必要はない。究極的には彼らは、国際的に売れるものの生産に携わればよい。
機は熟しつつある
すでに技術革新によって移動と通信のコストは極限にまで下がっており、均等化達成は可能になりつつある。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)や環大西洋貿易投資連携協定(TTIP)などの自由貿易交渉は、利益団体の抵抗で後退を強いられてはいるものの、最終的には実現するだろう。
一方、自由貿易が生み出す敗者を守る必要もある。米国では、輸入増の影響を受けた国内企業や雇用者を支援する貿易調整支援(TAA)プログラムについて、オバマ大統領が拡大を提唱した。しかし、現在のところ、拡大には至っていない。
欧州連合(EU)が、世界の貿易構造の変化に直面する域内の労働者らを支援するため2006年に発足させた「欧州グローバル化調整基金(EGF)」の年間予算も、1億5000万ユーロと小規模なままだ。
次なる革命は、自身の選択とは無関係に貧困を強いられている知的な外国人と、コンピュータのモニター上で触れ合うところから起こるだろう。そして優れた通商協定が不可欠となる。そこには公平な貿易環境の整備と併せ、各国内の社会保障の強化も織り込まれるべきだろう。
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