次期アンドロイド機密情報を欲しがった北朝鮮 訪朝したグーグル会長に執拗におねだり

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訪朝したシュミット会長は、現地で大学など教育施設を回りながら、インターネットを利用する北朝鮮国民の姿を見てきた。最近、北朝鮮政府と合弁で移動通信事業を行うオラスコム社は「北朝鮮における携帯電話の利用者数がまもなく200万人に達する」と発表。同社の情報をもとにすると、北朝鮮の人口約2200万人の1割近くが利用していることになる。訪朝経験が豊富な北朝鮮の経済事情通は「かつて、平壌市の人口が200万と言われていた。その数が変わっていなければ、子どもも持っているという計算になる」と指摘する。

しかも、2011年末の利用者数は95万人、12年11月ごろの利用者は150万人で、わずか4カ月ほどで50万人が増えたことになり、北朝鮮としては驚くべき早さで利用者が増えているようだ。

携帯電話、スマホ…情報家電が普及する北朝鮮

北朝鮮の携帯電話からは、国内の通話とショートメッセージの送信が可能とされ、国際電話とインターネット接続はできないとされている。ただ、北朝鮮を訪れる外国人観光客や平壌などに駐在する外国人には、今年2月ごろからインターネットや携帯電話の使用が許可されている。

一方で、「中国などからアップルのアイフォーンや台湾のHTC製のスマホを購入、北朝鮮国内でも使う北朝鮮人が増えている」との、中朝間を行き来する自営業者らの証言もある。また、平壌市内で北朝鮮製のタブレットPCが流行しているが、その基盤はアンドロイドだ。自社技術の管理が厳しいアップルよりも、オープンソースとなっているアンドロイドであるならば、北朝鮮当局が今後拡大する情報統制のために、少しでも有益な情報を直接、シュミット会長に教えてもらおうとしたのだろうか。

福田 恵介 東洋経済 解説部コラムニスト

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ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『金正恩の「決断」を読み解く』(彩流社)、『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(すべて、東洋経済新報社)など。

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