「親のカネ」を把握しない人はいずれ後悔する 話の切り出し方と本音の引き出し方

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おカネにまつわることは、父親、母親どちらにも確認をとりましょう。これは私の苦い経験によるものです。以前、母に「パパのゴルフ会員権、処分しておいて」と頼まれて売却したときのこと。後から父に「ひとこと相談してほしかった」とがっかりされたことがありました。

もう数年前のことですが、今でもよく言われます(笑)。本当に大切だったのでしょうね。人によって価値の“ある”もの、“ない”ものはまったく異なることを痛感した出来事でした。

夫婦で意思の疎通ができていないことも多いので、どちらか一方から言われても、ふたりの合意と思わないほうがよいでしょう。母親から言われたことは父親に、父親から言われたことは母親に、念のため確認するのが無難です。お互い内緒で、株をやったり、へそくりしていたりすることもあります。夫婦生活も長いと、一定の隠しごともあるものです。

ただ、親の資産の全体像を把握しておきたい子どもの立場からすると、両親の秘密は知っておきたいですよね。それぞれに

「お母さんに内緒で銀行口座とかもってないの?」

「お父さんに内緒のおこづかいってあるの?」

とこっそり聞いてみましょう。同性の場合は、温泉で背中を流しながら聞いてみると、案外ポロッと本音が飛び出すかもしれません。

ときどきおカネの問題を子どもに頼る親がいます。たとえば、

・おカネを貸してほしい

・借金を肩代わりしてほしい

などです。

実際、何かにつけて親の買い物の支払いをしている人や、「親孝行できなかったから……」という負い目があるからか、親の死後、親の借金を返済し続けている人が多くいます。

すべてをやる必要はない

『親とさよならする前に~親が生きているうちに話しておきたい64のこと』(サンクチュアリ出版)。画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

子どもだからといって、親に頼まれたことをすべてやる必要はありませんよ。特に親の借金は子どもの責任ではありません。独立した人間なのだから、断ってもよいのです。もし援助するなら、いくらまでおカネを出せるのか、あらかじめ決めておきましょう。

確かに、親に「できない」と言うのはつらいこと。親も、子どもを信頼してお願いしているのに……と傷つくかもしれません。そんなときは、どんなことならできるのか可能性を探って、「できない」ではなく「これはできるよ」と言えることを探してみてください。たとえば「(おカネは出せないけど)入院の付き添いならできるよ」。こんな感じですね。できないことをわざわざ口に出して伝えるよりも、できることを教えてあげる。そうやってお互いの距離感を縮めていけるとよいですね。

「親とおカネの話をするなんて不謹慎だ」と思う人もいるかもしれません。しかし、何も話してこなかったことが自分を苦しめ、大切な人も傷つけるかもしれません。「話しておけばよかった」と後悔しないように、親が元気で生きているうちにこそ、話して決めておきましょう。

清水 晶子 日本クオリティ オブ ライフ協会代表理事

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しみず あきこ / Akiko Shimizu

神奈川県生まれ。一般社団法人日本クオリティ オブ ライフ協会代表理事。
葬儀社の役員として、15年以上にわたり年間1000件を超える葬儀供養などの相談に携わり、人生の終末期における生活者の悩みに真摯に向き合う。さらに自身の祖母の介護・成年後見を経験したことにより、終活の必要性・重要性を生活者・事業者に伝えることが使命と考え、一般社団法人日本クオリティ オブ ライフ協会を設立。長寿社会において、最後まで尊厳を保ち、だれもが人生に幸福を見出せる社会の醸成に努める。全国各地で、終活、生前整理に関するセミナーや高齢者ヨガのクラスを開催し、人気を博している。

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