中国太陽電池大手、"おいしい"日本市場狙う 業績不振のJAソーラー、出荷量倍増で攻勢

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日本市場での2013年出荷量は倍増以上狙う

JAソーラーは日本では自社ブランドだけではなく、商社の丸紅や高島と組みOEMでも展開している。最近はメガソーラーを含めた非住宅向けが8割方を占めている。2012年の日本での出荷量は80メガワットで、中国メーカーとしてはサンテックに次ぎ2位だったが、13年1~3月は中国メーカーでトップに浮上すると見込む。13年通年の出荷量は前年比で倍増以上が目標。中期的には日本でシェア8~10%を獲得し、外資トップの座を狙っている。

ジンCEOは日本市場について、「ほかの市場に比べ、顧客の商品に対する要求が非常に厳しい。そうした日本市場で鍛錬を積むことで、当社の製品とサービスの質を向上させていきたい」と語る。

JAソーラーはすでに、日本支社では営業要員を約20人に増員し、中国本社でも日本市場向けの新商品開発やアフターサービス拡充など、これまでなかった取り組みを始めている。新商品開発については、日本で今年6月以降にメガソーラーの建設がピークを迎えるのに合わせ、各顧客にカスタマイズした新商品を投入していく考えだ。

低価格のみ追求せず、新商品開発や変換効率向上に注力

日本における価格戦略について日本市場の責任者を務める李燕・副社長は、「欧州では悪質な価格競争が横行して市場秩序が乱れ、多くの企業が倒産した。日本において当社は、必ずしも低価格で提供するのではなく、適切な価格で顧客ニーズに合った高品質の商品を提供していくことで、日本の太陽光市場の健全な成長に貢献したい」と話す。

中国メーカーにとっては、日本勢に比べた低価格が最大の武器のひとつであることは間違いない。ただ、激しい低価格競争が結局、自分の首を絞めることを経験しているだけに、少なくとも当面は25年保証などもアピールしながら、確実にマージンを確保する戦略でいくものと見られる。

さらに、技術開発について最高技術責任者(CTO)を務めるリュウ勇・上席副社長は、「中国メーカーはすでに模倣の段階を過ぎており、イノベーションがなければ主導的地位を保てない」と語る。単結晶セルの変換効率は量産ベースですでに19.5%を上回る水準を達成しているが、今年中に20%超、来年中に21%超を目指すという。セルに比べて2~3%のパワーロスが発生するモジュールにおいても、「今後3年以内には開発段階で20%の大台乗せが可能」との見通しを示した。

(※記事中、「ジンCEO」のジンは左側が「革」で右側が「斤」の合字。「リュウCTO」の「リュウ」は左側が「文」で右側が「リ〈りっとう〉」の合字)

中村 稔 東洋経済 編集委員
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