
生ビール風タンクでは、約1週間発酵させたあと、1~2カ月貯蔵して熟成させる。発泡酒もほぼ同じ工程で作られる。見学コースに新幹線がよく見える場所はないが、職員用の洗面所からは見える
生ビールのように見えるのは、ビールの発酵・貯蔵タンクだ。高さ約23m、直径約8mのタンクは全部で106本あり、そのうち東海道新幹線などから見える30本が、「生ビール風」に装飾されている。生ビールがもっとも美味しく飲める「ビール7、泡3」の比率になっているというから面白い。
キリンビールによれば、現在の発酵・貯蔵タンクの使用が始まったのは、1990年代前半のこと。1997年の工場リニューアル時に、生ビールの装飾が行われたという。
キリンビール工場を通過するのは、東京駅から347km地点。東海道新幹線の運転士は、運転しながら絶えず現在地点から到着駅までの距離と時間を暗算し、最適な速度を算出して運転をしている。
運転士にもよるが、現在地点の把握には沿線の車窓風景も活用しており、「東京から350km地点」の目安とされているのが「キリンビール名古屋工場と清洲城」だとか。「350」は、缶ビールレギュラー缶の内容量と同じで、ひときわ覚えやすい。
車窓を訪ねて「社会科見学」
さて、新幹線の車窓から面白いものを見つけたら、次は現地を実際に訪れてみよう。

キリンビールの工場見学は試飲時間と合わせて約70分。ビールの作り方だけでなく、ビールの歴史も学べる
キリンビールでは、全国のビール工場で無料見学を実施している。個人でも見学可能で、原則として2人から受付可能。前営業日までにウェブサイトや電話で予約する。工場へは、名古屋駅の隣、東海道本線枇杷島駅からシャトルバスが運行されており、名古屋駅から気軽に訪れることができる。
名古屋工場の見学は、1回約70分。「キリン一番搾り」の製造工程を、仕込みからパッケージングまで順を追って見学できる。AR(拡張現実)を使ってガイドが持ったボードから麦が生えてきたり、発酵・貯蔵タンクと同じ直径・長さの「ビールのトンネル」を歩いてその巨大さを実感できたりと、テーマパークのように演出されているのが楽しい。
見学後は、一番搾りやスタウトビールなどを3杯まで試飲できる(20分)。キリンレモンや午後の紅茶といった清涼飲料水もあるので、家族連れでも楽しめる。
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