交渉ベタな人は「伝え方」の本質を知らない 気持ちよく合意してもらえる4つの秘訣

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こんなときには、こちらから相手のこぶしの下ろしどころを作ってあげるのです。「私も誤解を招くようなことを言ってしまって申し訳ありませんでした。今後はこちらも気をつけますから今回はおさめてもらえませんか」と言うのが、円満な解決への道です。

実は、私も若いころは「何も、責任がないのに謝る必要はない」と考えていたのですが、これは感情論であって勘定論ではないということに気がついて考えを改めました。

謝ることは責任を認めることではない

今は、相手が無用に感情的な議論をふっかけてきたときには、心の中では「まったく、感情的になるなんて子どもだなぁ。こっちは大人になろう」と思いながらも、「ご連絡が遅くなりすみません」「誤解を招くような伝え方をして申し訳ありません」と謝罪の言葉を口にするようにしています。謝ることは責任を認めることとイコールではありません。

「謝罪の言葉はコストゼロ」です。まずは謝ってしまうことで、交渉相手に「自分の気持ちを理解してもらい、ちょっと譲ってもらえた」という印象を与えることができるのです。

③ 肯定してから別の条件を出す

自分の話を否定されると、つい感情的になってムキになってしまい、余計に考えを変えにくくなるものです。

相手の話に対していきなり「ダメです」と言わずに「わかりました。そのかわり~」と伝えるようにします。このような交渉方法は「イエス、イフ法」と呼ばれています。まずは「イエス」と言いながら自分の条件をつけ加えて出すのです。

たとえば、酒店を営むあなたのところに「明日までにビールを1ケース4000円で100ケース欲しい」という注文が入りました。1ケース4000円では利益が出ないので「それはできません」と言いたいところですが、そう答えてしまうと話は終わってしまい、交渉は決裂してしまいます。

ですから、この申し出をまずは肯定し「わかりました。そのかわりワインを50本合わせて購入してもらえませんか」と新たな条件をつけ加えるのです。

「そのかわり~」でつけ加える条件の切り口は、

▪商品(品質)
▪数量
▪価格
▪納期(引渡条件)
▪支払い条件

のどれかになることが多く、自分に利益が残って相手も受け入れられる可能性のあることを選ぶ必要があります。

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