「周り」ばかり気にしている人は踏み出せない 見るべきは自分が進むべき「前」なのに・・・

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それはひとえに、世の中は情報と外野があふれかえっているからです。一昔と違い、その気になれば興味のある職業に従事している人や、気になる会社に勤務されている人の話を実際に聞くこともできますし、そうでなくとも転職エージェントなどの話から紙面以上の情報を入手することも可能です。そして、キャリアに関するアドバイスを提供している人たちや(ハイ、私もそのひとりです)、転職経験者が増えていることもあり、相談に乗ってくれる人も多いものです。

ただ、このように手厚い外野陣や膨大な情報をもってしても、人はそれで意思決定できるかというと、その限りではありません。結局、いつまでも情報収集を繰り返す「意思決定先延ばし症候群」、外野が多すぎて判断がブレまくる「自信しかない症候群」、意思決定をしないためにできない理由ばかりを探し求める「ネガティブエビデンス症候群」など、例を挙げればキリがありません。

人生に教科書のような「正解」はない

人の人生やキャリアというものには、教科書のような正解はありません。したがって、ここまで情報を集めれば、またはここまで人の話を聞けばいい、というようなものは存在しませんし、意思決定を下すためのマニュアルも存在しません。ですから、最終的には「エイやっ」の部分が事実としてどうしても必要なのです。

石川さんのケースでも、現在感じている違和感の根源は何なのかを通じて、ご自身が理想とする仕事のモデルを探されるのは当然、有効でしょう。それをすることで、漠然とした転職のターゲットが少なくとも具体化されますので、行動にも落とし込みやすくなるはずです。

ただし、うつ病の過去や、石川さんの他人を気にされる傾向を考えますと、それだけでは決して十分ではありません。と言いますのも、おそらくですが、石川さんは現状が変わることの結果に対する恐怖のようなものをお持ちのように見受けられるからです。転職に対する不安も、その現状が変わることや、新しいことに挑戦した結果に対する不安から来るものなのでしょう。

ですから、いくら現状分析を繰り返したり、情報を集めたりしても、最終的な意思決定につながる可能性は決して高くないと思われます。最終的に意思決定をするためには前述のとおり、他人の目線や意見ではなく、もっとご自身の判断を信じて行動する勇気、ダメな部分も含めて自分自身を好きになる勇気が必要なのです。

自分を信じていれば、自分を好きであれば他人に何を言われようと、信じた道を突き進むことができます。そしてそういったことをできる人、つまり自分自身の価値観や経験に基づいて自分の道を自分の判断で切り開いていける人が、本当の「大人」というものです。

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