キプロス支援で合意も先が見えない欧州危機 欧州の危機は何も解決していない

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預金封鎖にペイオフ実施

キプロスの資金ショートが迫る中、3月16日にEU・ユーロ圏財務相グループとキプロス政府が合意した当初案は、EUがキプロスに最大100億ユーロの支援を行う代わりに、すべての銀行預金に課税を行う(税収58億ユーロを見込む)という過激なもので、金融市場にとってはネガティブサプライズとなった。

通常の破綻処理において株主、劣後債権者の順に負担を負い、シニア債権者は最後というルールを無視したこの案は、キプロスの議会で否決。ECB(欧州中央銀行)は緊急の資金支援を3月25日まで続けるとし、それ以降の打ち切りを示唆して、解決を迫った。

結局、26日にEU、ECB、IMF(国際通貨基金)のトロイカ体制とユーロ圏財務相グループはキプロスとの間で、新たな再建案で合意に達したが、それも市場から見ればネガティブな内容だった。

すなわち、預金保険で保護される10万ユーロを超える預金口座は守られず、ペイオフが実施される。株主・劣後債権者の負担では賄い切れず、シニア債権者も負担を強いられることになった。しかも、16日からは預金封鎖に踏み切っていた。28日にようやく銀行は再開されたが、引き出し額は1日300ユーロを上限とし、送金も制限された。

「キプロスの銀行再編はテンプレート(雛形)になる」とのダイセルブルーム・ユーログループ議長の発言に市場が敏感に反応。慌てて「キプロスは特殊な例」と打ち消す一幕もあった。

銀行業のウエートの高い小国スロベニアが注目され、銀行が多額の不良債権を抱えているとみられているスペイン、イタリアなどで取り付け騒ぎが起きると予想されたが、大きな混乱は今のところ見られない。

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