広島の通勤電車に「カープ坊や」が現れたワケ 新車は「末期色」から地元が愛する“RedWing"

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JRシティネットワーク広島のロゴマーク

そして新車投入を契機として、広島のJRネットワークのブランディングを試みた。「JRシティネットワーク広島」というネーミング、広島駅を起点に5方面の路線にアルファベット記号と5色を配したシンボルマークの設定を行った。路線図も新たにデザインした。

そして車両のデザインである。関西の最新鋭の車両がベースなので、今までなら、帯の色を少し変えるくらいで終わらせていたかもしれない。しかし新車であったとしても「関西と一緒かいや」と思われてしまったらせっかくの投入の意味がない。

そこで水平方向のラインよりも垂直方向のラインを強調し、色も地域で最も親しまれている“あの色”を大事に用いた。「JRシティネットワーク広島」のロゴマークも配して、“RedWing”という愛称名までつけた。子供に車両形式ではなく、名前で呼んでもらえる存在になってほしいとの想いである。これらは、記憶に残るデザインの仕掛けの数々である。親しまれるためにはまず知ってもらうことから丁寧に始めなければならないと考えたのである。

JRもカープのように・・・

初期段階での227系の色彩検討。左上がJR西日本の標準的なデザインで、これとは異なる広島のオリジナリティを追求した

カープは地域に親しまれるために、デザインを見事に使いこなしている。JRも地域に親しまれる鉄道を目指してデザインの力を信じてブランディングを試みた。多くの人々に語り継がれているカープの歴史には及ばないが、まだ生まれたばかりの「JRシティネットワーク広島」も語り継がれ親しまれる存在になって欲しいと願って、多くの関係者が魂を込めてきた。その想いが強すぎたのかLEDの行き先表示器に「カープ坊や」がかくれていた。

いつどのようなタイミングで使うかは水面下での調整があったと聞いているが、優勝という最高の機会にお披露目することが出来て、カープファンのみならず地域の方々に喜んでもらえたのではないだろうか。

カープ坊やの表示は、地域に親しまれている大先輩カープへのリスペクトであり、鉄道が同じように地域に親しまれる存在になっていくための意志表示なのである。

大森 正樹 JR西日本 車両設計室課長 鉄道設計技士

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おおもり まさき

千葉大学工業意匠科でコミュニケーションデザイン専攻、わかりやすく親しみのある鉄道をデザインで実現したいと思い、1989年にJR西日本入社。在来線車両の設計、デザインのほか、路線図や案内サインのデザインも手掛ける。

 

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