北朝鮮「経済制裁強化」でも活況呈す街の正体 羅先国際商品展示会から見える経済の現状
羅先市は昨年、大雨による洪水被害を受け、経済活動にも支障を来しているのではないかとの指摘も多かった。「被害は大きかったが、経済・観光分野でのインフラ施設も復旧・新設された。災い転じて福と成す、だ」と、羅先市人民委員会経済協調局の魯英男(ロ・ヨンナム)局長は言う。
北朝鮮経済に詳しい環日本海経済研究所(新潟市)調査研究部主任研究委員の三村光弘氏は、展示会開催中に現地を訪れた。三村氏によれば、展示会への参加企業は85社ぐらいで、中国企業が最も多かったと証言する。この数年、この展示会を毎回訪れている三村氏は「100社から減ったように感じたのは、中国政府がこれまでのように積極的に旗を振って、中国国内企業に展示会への参加を促すことがなくなったためではないか」と指摘する。
中国政府の意向で地方政府が参加に消極的
これまで、北朝鮮と国境を接する中国・延辺地域や遼寧省、吉林省などの地方政府は、域内企業に対し展示会への参加を呼びかけていた。これが、経済制裁に中央政府が同調して今年になって制裁強化の姿勢を打ち出したため、地方政府もこの意向を忖度せざるをえない。そのため、地方政府はこれまでのように各企業に参加を促すことに消極的になったためでないか、という説明だ。
展示会自体は、「商品即売会の性格が強い」(三村氏)。前出の許明浩社長が言うように、洗剤・せっけんや台所用品などの日用品が出品され、羅先市民は喜んで購入していたと三村氏は紹介する。羅先市内も、中国からの資本で18階建てといった高層マンションが以前よりは増え、高層建築物の工事現場も前年よりは増えていたと言う。
また、電気事情も以前よりは改善され、ほぼ24時間、停電もなく通じていたようだ。ただ、「電圧が安定していないところもあり、エアコンなどの家電でもより強力な電圧を必要とするものはきちんと稼働していないこともあった」と、三村氏は羅先市の状況について述べた。
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