iPhone7が告げる「ヒアラブル」時代の幕開け イヤホンジャック廃止が意味するもの
[7日 ロイター] - 米アップル<AAPL.O>が発表した新型スマートフォン「iPhone(アイフォーン)7」ではイヤホンジャックが廃止された。多くのユーザーに長年親しまれた機能だけに廃止を惜しむ声は強いが、専門家は音声で動く「ヒアラブル」時代の幕開けを告げるものだと歓迎している。
イヤホンジャックがなくなることで、同時通訳や雑音の除去、音声による端末操作などが可能な豆粒ほどの大きさのイヤホンの開発に道が開かれるという。こうした「ヒアラブル」機器市場は今後5年以内に160億ドルに達する見通しだ。
英国の無線技術コンサルタントのニック・フン氏は、こうした時代の到来が「驚くほど近くまで来ている」と話す。
アップルはイヤホンジャックの廃止でアイフォーン内部のスペースを増やすことができたと説明。ワールドワイドマーケティング担当上席副社長のフィル・シラー氏は「当社のモバイル機器でイヤホンケーブルに縛られるのはばかげている」と述べた。
イヤホンケーブルからの離脱は既に始まっている。デジタル機器用の短距離無線通信規格「ブルートゥース」を利用したワイヤレススピーカーは、年初来の販売台数が1億台を超えており、ワイヤレス化の波は既にヘッドセットに及んでいる。
次に控えているのがイヤホンのスマート化だ。ドイツの新興企業ブラギは先週、米IBM<IBM>の人工知能(AI)「ワトソン」とイヤホンの連携を発表した。IBMによると、ユーザーはブラギのスマートイヤホンを使って意思の疎通を図ったり、翻訳をしたりすることが可能だ。
こうした「ヒアラブル」ワールドの実現では、コンピューターが人間の命令をどう理解するかが鍵となる。アップルは音声による機器操作用のソフトウエア「Siri(シリ)」の性能が向上したとしている。またアマゾン・ドットコム<AMZN.O>のAI搭載ソフトウエア「アレクサ」で音声の指示よりスピーカーの操作が可能なほか、アルファベット<GOOGL.O>傘下のグーグルも同じようなソフトウエアを開発している。
ヒアラブル端末にはまだ技術的な問題がつきまとっており、「アップルのAIはまだ準備不足」(バンドリコ・ソルーションズのゴンザレス・テューデラCEO)との指摘もある。
ただ、一部の主要ハードウエアメーカーを含めて業界関係者の間では「ヒアラブル」ワールドの時代が近いとの見方が大勢だ。
米国の新興企業エモーティブ・システムズは、思考や表情によってソフトウエアの操作が可能なヘッドセットを300ドルで販売している。
(Jeremy Wagstaff記者)
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