月額500円「LINEモバイル」は躍進できるか 「大本命」だが販売体制などに課題も

拡大
縮小

満を持しての参入となったが、会見からはいくつかの課題も見えてきた。まず、「ガラケーユーザーを取り込む」と言いながら、販売開始当初はLINEモバイルのWebサイトからしか購入できない。

このままでは、ガラケーユーザーのうち、インターネットに疎い顧客層を取り込むのは難しそうだ。販路の拡大についても「ユーザーの拡大を見て、量販店のほうから扱いたいという声があれば」(嘉田社長)と話す程度だった。

現状は販売体制が整っていない?

音楽配信サービスの使い放題については「LINEモバイル2.0以降で検討する」(舛田氏)とした

当初の決済方法も、ネット決済のLINEペイや前払いのLINEペイカード、それにクレジットカードのみ。銀行口座からの自動引き落としやコンビニエンスストアでの料金支払いは「今後検討していく」(嘉田氏)という。通信料金を自動引き落としにしているユーザーは少なくないため、LINEモバイルを拡大するうえで足かせとなる可能性もあるだろう。

さらに、価格だけなら月額500円を下回る業者も存在する。「低価格だけではない。ユーザーの利用状況に合ったサービスを最適な価格で提供することこそが大事」と舛田氏は反論するが、どこまでユーザーに訴求できるかは未知数だ。

LINEが6000万人超の国内ユーザーを抱えるだけに、携帯3社を脅かす存在になるのではないかと大きく注目を集めたLINEモバイルだが、今のままでは販売体制が脆弱すぎる。これをしっかりと整えた後にこそ、真価が試されることになる。

(撮影:大澤 誠)

山田 雄一郎 東洋経済 記者

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やまだ ゆういちろう / Yuichiro Yamada

1994年慶応大学大学院商学研究科(計量経済学分野)修了、同年入社。1996年から記者。自動車部品・トラック、証券、消費者金融・リース、オフィス家具・建材、地銀、電子制御・電線、パチンコ・パチスロ、重電・総合電機、陸運・海運、石油元売り、化学繊維、通信、SI、造船・重工を担当。『月刊金融ビジネス』『会社四季報』『週刊東洋経済』の各編集部を経験。業界担当とは別にインサイダー事件、日本将棋連盟の不祥事、引越社の不当労働行為、医学部受験不正、検察庁、ゴーンショックを取材・執筆。『週刊東洋経済』編集部では「郵政民営化」「徹底解明ライブドア」「徹底解剖村上ファンド」「シェールガス革命」「サプリメント」「鬱」「認知症」「MBO」「ローランド」「減損の謎、IFRSの不可思議」「日本郵政株上場」「東芝危機」「村上、再び。」「村上強制調査」「ニケシュ電撃辞任」「保険に騙されるな」「保険の罠」の特集を企画・執筆。『トリックスター 村上ファンド4444億円の闇』は同期である山田雄大記者との共著。

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山田 泰弘 東洋経済 記者

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やまだ やすひろ / Yasuhiro Yamada

新聞社の支局と経済、文化、社会部勤務を経て、2014年に東洋経済新報社入社。IT・Web関連業界を担当後、2016年10月に東洋経済オンライン編集部、2017年10月から会社四季報オンライン編集部。デジタル時代におけるメディアの変容と今後のあり方に関心がある。アメリカ文学、ブラジル音楽などを愛好

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